問題 68

Eさん(67歳、女性、要介護3)は、1年前、くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)で倒れて、左片麻痺、体幹機能の低下が残った。

排泄訓練を目的として介護老人保健施設に入所した。

入所時のEさんは、不自由でも、右手でベッド柵を掴んで起き上がることやベッドの端に座ることはできたが、立位保持はできなかった。

おむつを着用しているが、「おむつは嫌」と自分の気持ちを訴えていた。

医師は着脱と拭く行為には介助が必要だが、車いすから便座に移ることは可能であると判断した。

F介護福祉職はアセスメント(assessment)を行い、本人の思いを考慮して介護計画の短期目標を、「車いすから便座に移り排泄する」と設定して、評価日は1か月後とした。

理学療法士と連携して、トイレで移乗のための立位訓練を始めた。

2週間が過ぎた頃、思うような成果が出なくて、Eさんは嫌気がさしてきた。

複数の介護福祉職からEさんの訓練拒否が報告されるようになった。

F介護福祉職がEさんに理由を尋ねると、「あまり人の世話になりたくない。

みんなに迷惑がかかるのでおむつのままでいいわ」と言った。


Eさんのニーズとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

[第29回(2017年) 介護過程]

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正解は 2

トイレで排泄ができること

1不正解
移乗訓練をやめること

Eさんが訓練を受けたがらない理由は、成果が出ないことへの悔しい気持ちが原因です。

「おむつは嫌」という気持ちは持ち続けていると考えられるため、移乗訓練をやめることはEさんのニーズではありません。

よって不正解です。

2正解
トイレで排泄ができること

Eさんの発言は、訓練の成果が出ないことへの自分の気持ちを述べているだけで、「おむつは嫌」という本心は変わっていないと考えられます。

トイレで排せつができというニーズ自体が変化したわけではないので、正解です。

3不正解
左片麻痺をなくすこと

左片麻痺を無くすことは現実的には困難なことです。

介護過程におけるニーズは、支援によって改善することができる、現実的なものであるべきなので、不正解です。

4不正解
おむつに戻すこと

「おむつのままでいい」というEさんの発言は、訓練の成果が出ないことへの気持ちの表出なので、本心とは考えられません。

よって不正解です。

5不正解
早く家に帰ること

Eさんは家に帰りたいとは述べておらず、ニーズではありません。

よって不正解です。

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ポイント解説

利用者の心理として、訓練の成果が出ないと「せっかく訓練をしてくれているのに、申し訳ない」という思いを抱く場合があります。

しかしそのような気持ちの表出の背景には、「成果を出したい」との強い思いがあると考えられます。

介護福祉職には、利用者の発言の裏にある思いを汲み取ろうとする姿勢が求められます。

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