厚労省、目標明記で「通いの場」を推進
「通いの場」への参加率、2025年までに8%を目指す
厚生労働省は、介護保険の地域支援事業について実施要綱の改正を通知しました。2018年度時点で5.7%だった「通いの場」に参加する高齢者の割合を、2025年までに8%に引き上げるという目標を明記しました。
中でも「一般介護予防事業」についての見直しがされ、要支援・要介護認定される前の幅広い高齢者が対象となります。今後「通いの場」への参加が積極的に推進されていきそうです。
数値目標が明記されたことにより、高齢者の参加がより活発になるような取り組みの検討が自治体には求められます。

「通いの場」の定義
ここであらためて「通いの場」の定義を確認します。
厚労省は「住民運営の通いの場のコンセプト」として以下の項目を挙げています。
- 市町村全域で、高齢者が容易に通える範囲に、通いの場を住民主体で展開すること
- 元気な方がより一層元気に、弱ってきても地域に通える場があり、支え合える地域を目指す
- 住民自身の積極的な参加と運営による、自立的な拡大を目指す
- 住民自身が納得して行うためにも、介護予防として効果が実感できる取り組みを行う
- 介護予防として効果をあげるのに必要な頻度として、体操などは週1回以上の実施を原則とする
「通いの場」を運営する上で大切なことは、住民が主体となることです。普段高齢者を身近で見ている住民が、どこでやるか?何をするか?などを判断し、その手伝いや支援を行うことが行政の役割です。
「通いの場」への参加を習慣化するために
「通いの場」が抱える課題
「通いの場」はどんな課題を抱えているのでしょうか。約半数の人たちが「課題はない」と回答しているものの、活動期間が長期になるほどその割合は少なくなっています。
活動期間が2年以上のグループでは「参加者の健康・体調」が課題に上がり、健康問題を理由に「通いの場」からの離脱する人も少なくないそうです。
4年以上活動しているグループでは「参加者の高齢化」、「運営メンバーの不足」や「参加者の不足」が課題となっています。
このように参加者が感じている課題は、活動期間によっても異なるので、それを踏まえた支援が必要となります。
住民主体の「通いの場」では、リーダーを設ける義務はありませんが、会場や物品の準備をする人は必要です。
リーダーに負担が集中しないよう役割を分担したり、新規メンバーが参入しやすい環境を整えて、定期的な世代交代を進めることは「参加者の高齢化」や「参加者の不足」の課題解決にもつながります。

「通いの場」を習慣化するためには
高齢者の方々が「日常的に、住んでいる地域で、地域の人たちと交流できる場所」が「通いの場」なので、参加する高齢者自身が取り組みの効果を実感でき、そして通いやすい場所にあることが習慣化するための大切なポイントです。
高齢になってからでも適切な体操などをすることで、筋力の維持や向上が可能なことがわかっていますが、その効果をキープするためには、週1回以上の頻度で続けなければなりません。
また「通いの場」には、後期高齢者や虚弱高齢者の積極的な参加の促進という役割もあります。
マンネリ化を避けるために、無闇やたらに活動に取り組んでしまうと、参加者が対応できずに通うことをやめてしまうこともありうるので注意が必要です。
「通いの場」の効果と地域づくりの例
「通いの場」の介護予防効果
「通いの場」に参加することで得られる介護予防効果にはさまざまなことが考えられます。具体的にはスポーツ、ボランティアや趣味の活動を行う「通いの場」への参加率が高い高齢者ほど、転倒や認知症、うつのリスクが低い傾向にあることがわかっています。
体操などで無理なく、楽しく体を動かして心身を健康に保ち、自らの健康管理を意識するきっかけになります。
また「通いの場」で自分の居場所をつくることができたら、それが生きがいになり社会参加への意欲を高めることもつながります。
さらに「通いの場」で人と会い、コミュニケーションを取ることは適度な精神的刺激となり、閉じこもり防止にも効果が期待できるそうです。
また通いの場に通う頻度が高いほど、高齢者の死亡率が下がるというデータも発表されています。

地域の特性を生かした「通いの場」
最後に各自治体がすすめている「通いの場」づくりの実例を紹介します。
- 岐阜県各務原市
- 福祉と農業をマッチングさせた「農福連携事業」を展開しています。農作業体験を通して心身のリハビリや仲間との共同作業で、社会参加への促進を期待。高齢者が生涯現役で活躍できる社会を目指しています。参加者からは「健康づくりができる上に、人との交流が楽しい」と好評で、子どもたちとの世代間交流の場にもなっているようです。
- 滋賀県栗東市
- 健康・福祉総研が提唱する100歳大学構想を基に、2015年に「栗東100歳大学」を開校しました。65歳以上の高齢者が、基礎科目と専攻科目を受講し、講義、演習はもちろん、実習やフィールドワークを行っています。100歳大学の卒業生たちは、その経験を活かし、地域でさまざまな活動に携わっています。
- 兵庫県神戸市
- 民間企業と連携し、コーヒーを通じた地域の「介護予防カフェ」を運営。場所は高齢者が集いやすいよう限定せずに、個人宅、集会場や高齢者施設などで実施しています。介護予防カフェの増加とともに、他の参加者を気遣うなど高齢者同士のコミュニティ形成としての役割もあるそうです。
「通いの場」には、地域の特性を活かしたさまざまな活動事例があります。住んでいる地域ではどんな活動が行われているかチェックして、自分に合いそうな「通いの場」は見つかったら、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
また、新型コロナウイルス感染拡大により、自宅で過ごす時間が増えてしまっている高齢者に向けて、厚労省はWebサイト上の「通いの場」を開設しています。自宅でできる体操など、高齢者が健康を維持するための情報を提供しています。
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2020年9月7日 制定