重視される在宅での栄養管理
夜間オンコールの負担
介護施設などで勤務する看護師にとって大きな負担となっているのが「夜間オンコール対応」です。
夜間オンコールとは、利用者に緊急事態が生じた際、夜間でも看護師が施設に駆けつけたり、電話指示が仰げたりできるように、看護師を待機させておくものです。家族への連絡等は相談員が行うので、相談員も呼び出される場合も。
担当者は、夜間でも携帯電話を肌身離さず持って待機し、入居者や利用者が転倒したり急変したりしたときに、すぐに施設へ駆けつけて救急隊や病院などと医療的な情報を共有してコミュニケーションを取らなくてはなりません。
秋田大学が訪問看護師のオンコールによる負担感を調査をした結果、約8割の訪問看護師は、夜間にオンコールを担当することを精神的に負担と感じており、約7割の訪問看護師は身体的に負担と感じていたことがわかっています。
また、電話をかける側の介護スタッフの夜勤者も、「深夜帯に休んでいる看護師に電話しては申し訳ない」といった感情になり、電話をかけるのを控えてしまうという介護職員が多いことも指摘されています。
オンコールの実態
介護施設に勤める看護師は、夜間オンコール時に、実にさまざまな判断と対応に迫られます。
看護師に求められる判断
- 介護職では判断・対応できない利用者の状態変化への対応
- 医師でないと実施できない医療処置の代替案の提案
- 病院搬送の必要性の見極め
このような状況判断を即座に求められることがあり、これは医療機関に勤める看護職にはない特殊な対応です。
このように、介護職から看護職に対するオンコールという制度は海外などにはなく、日本独自の制度だとされています。
なかでも看護師が不安に感じている判断は「利用者の不調が朝まで様子をみてもいい状態か検討する」というもの。
そもそも特養に勤務する医師は約9割が非常勤だとされています。そのため、利用者の不調に関する医師との情報交換が難しく、看護師が判断せざるを得ない状況なのです。
利用者の命がかかる事態でもあるため、看護師にはかなりの責任がのしかかっているといえるでしょう。

オンコール代行のメリット
民間会社と北九州市の取り組みが表彰される!
こうした看護師の負担感を少しでも解消するため、北九州市では民間会社と協働で、夜間オンコール代行サービスの実証事業を行いました。
かねてより、北九州市は「北九州モデル」と称して、ICTや介護ロボットの導入を進めてきました。
この実証事業は、夜間オンコールを外部委託することで、常勤する看護師の負担を少しでも軽減することを狙いとしています。
北九州市内の特別養護老人ホーム17施設に導入し、約1年半にわたって事業を実施。期間中のオンコール件数は270件で、医療ミスやクレームなどはともに発生しなかったといいます。
実際に代行サービスを利用した夜勤スタッフへのアンケート調査によると、75%がサービスを有効だと回答しました。
この事業は「内閣府地方創生SDGs官民連携優良事例 優秀事例」にも選定され、注目を浴びました。
代行サービスの具体例
この代行サービスでは、介護施設の夜勤スタッフから受けた相談についてアドバイスするだけではなく、そのアドバイスした内容をすぐにレポートとしてまとめて提出。
レポートには電話の時間から相談内容など、詳細に書かれており、夜間帯に起きたことを施設で共有するための申し送り情報になります。
仮に救急搬送が必要となった場合でも、搬送依頼をした理由がレポートにまとめられているので、救急隊員にも必要な情報を正確に伝えることができます。
このサービスの大きなメリットは、まだ経験の浅い夜勤スタッフが働いていても気軽に連絡しやすい点。常勤の看護師だと、睡眠時間を削ってしまうかもしれないという不安感から、なかなか電話できないという心理がはたらきがちでした。
しかし、代行サービスの場合は、夜間オンコール専任のため、気兼ねなく連絡を取りやすいのです。若いスタッフでも何度でも質問することができるので、スタッフのケーススタディにも役立つといいます。
見直される夜間の働き方
看護師の心理的負担を軽減
夜間オンコールは看護師が判断を下さなければならないケースが多く、その判断によってさまざまなリスクがあることを考えると、責任感も生じるため心理的負担はかなりのものです。
それを代行することで、負担が軽減されるという声もある一方で、やはり利用者の状態を詳しく知らない看護師が対応するので不安があるという人も少なくありません。
日ごろから利用者の状態を見ている看護師だからこそ下せる判断という自負もあることでしょう。
この実証事業でも、開始前に不安を感じている人の割合は68%に上っていました。しかし、実際に活用したあとに不安がなくなったと回答した割合は31%に減少しています。
持続可能な勤務体制を実現するために
介護施設での夜間勤務のあり方は、これまでも職員やスタッフから厳しい声があがっています。
医労連は毎年『介護施設夜勤実態調査』を実施しており、その都度勤務体制の見直しを要求しています。
夜間オンコールのように、医療的判断を外部に委託するのは、なかなか受け入れられづらいかもしれません。
しかし、近年の介護施設では医療的な需要が高まっており、医師が常勤するような施設も少しずつ登場しています。

そうした中、現場の負担を軽減して持続可能な介護体制をつくることが大切です。
最初はさまざまな不安が生じますが、何を委託でき、何を施設側が行わなければならないのか実証を重ねて、夜勤体系の効率化を図るべきかもしれません
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2020年9月7日 制定