老老介護とは?その深刻な現状と背景
老老介護とは?
2022年に実施された「国民生活基礎調査」(厚生労働省)では、自宅で介護を行っている人々の中で、お互いが高齢者である「老老介護」の割合が、過去最多の63%に達したことがわかりました。
このような状況は、高齢者の介護負担が増大していることを示しており、介護を提供する高齢者自身もまた、さまざまな支援を必要としています。お互いが75歳以上である「超老老介護」のケースも増加しています。
老老介護が増加する背景
家族構成の変化により核家族化が進展し、高齢者夫婦だけで生活するケースが増えたことは老老介護増加の一因です。かつては同居していたり、近くに住んでいたりすることが当たり前だったために、子供が自然と介護する流れがありましたが、遠方に住んでいると子供に助けを求めにくく、高齢夫婦間での老老介護を余儀なくされます。また、高齢者の中には子供の世話になることに抵抗感を覚える方もいます。
さらに、経済的な余裕がないことも老老介護が増加する原因の一つです。施設入所や介護サービスの利用には費用がかかるため、金銭的な余裕がない家庭では、これらのサービスを利用することができません。結果として自宅での介護を選択せざるを得ない状況が生まれます。
また、認知症の増加も老老介護を複雑化させる要因の一つです。介護者自身が認知症になることで、認認介護(認知症の人が認知症の人を介護する状態)へと移行するケースも増えています。この状況では、介護放棄や虐待などのリスクも高まります。
老老介護が引き起こす深刻な問題
老老介護には共倒れのリスクがある
老老介護の状況では、介護者自身が高齢であるために身体的な負担や精神的なストレスが重なることにあります。
「共倒れ」とは、介護する側が過剰なストレスや身体的な負担により健康を害し、結果として本人も介護が必要な状態になることを指します。この状況では、本来の被介護者だけでなく、介護者も介護サービスを必要とする状態に陥り、家庭内で介護が提供できなくなる深刻な事態に陥ってしまいます。特に高齢者が高齢者を介護する場合、体力の衰えや疾病のリスクが互いに増加し、共倒れの可能性が高まります。
このような事態を避けるためには、介護負担の軽減、精神的なサポート、及び適切な介護サービスの利用が重要です。また、介護者自身の健康管理にも注意を払い、過度な負担を感じた場合は早期に専門家や支援機関へ相談することが求められます。
介護うつの現状とその深刻な影響
老老介護の状況では、介護者自身が高齢であるために特有の精神的、身体的な負担が生じやすく、「介護うつ」につながるリスクが高くなっています。高齢の介護者は、自身も健康問題を抱えていることが多く、介護によるストレスが既存の健康問題を悪化させる可能性があります。また、責任感が強く、人の頼みを断り切れない、繊細で人の気持ちを敏感に感じ取るといった特性を持つ人ほど、介護うつに陥りやすいとされています。
老老介護の場合、介護を受ける側と提供する側の両方が高齢であるため、介護サービスの利用に対する抵抗感がある場合があります。しかし、介護負担を軽減するためには、ショートステイなどの介護サービスの積極的な利用や、地域包括支援センターなどへの相談が重要です。介護うつの予防としては、好きなことをする時間を設ける、第三者の目線で介護に臨む、そして介護サービスを利用して心の負担を減らすことが有効です。
老老介護における介護うつへの対策としては、介護者が自身の感情や身体のサインに注意を払い、必要に応じて専門家の支援を求めることが大切です。また、介護の技術や知識を学ぶことで、介護の効率を上げることができ、精神的な負担を軽減することが期待できます。介護うつを予防するためには、介護者自身が健康管理に気をつけること、休息を取ること、そして心のケアを怠らないことが重要です。
経済的理由で施設入居できないことも
老人ホームの入居には、入居一時金と月額利用料の2つの主要な費用が必要です。全国平均で見ると、入居一時金は約94.7万円(中央値は10万円)、月額利用料は約15.2万円(中央値は13.5万円)が必要となります。この費用は施設の種類や地域によって大きく異なり、例えば介護付き有料老人ホームでは入居一時金が平均386.9万円、月額利用料が平均23.8万円となっています。一方、住宅型有料老人ホームでは入居一時金が平均89.4万円、月額利用料が平均13.9万円です。
経済的な余裕がない場合、これらの費用は大きな負担となります。初期費用がかかる施設と比較して、初期費用が不要な施設も存在しますが、これらは主に社会福祉法人などが運営する介護保険施設で、民間企業が運営する有料老人ホームでは入居時に初期費用が必要な場合が多いです。
このような状況の中で、多くの高齢者やその家族は施設入居のための費用が足りず、在宅介護を選択せざるを得ない状況にあります。老人ホームの料金体系や、費用の内訳、支払い方法、補助制度などを理解し、計画的に準備することが重要です。また、地域包括支援センターなどの公的機関に相談し、利用可能な支援制度を活用することも一つの手段です。
老老介護を防ぐための具体的な対策
地域社会との連携強化が老老介護予防につながる
地域社会における高齢者の支援は、老老介護の負担を軽減する上で非常に重要な役割を果たします。地域住民との良好な関係を築くことは、互いに助け合う文化の醸成に寄与し、孤立感の解消や社会的支援ネットワークの構築を促進します。特に、老老介護家庭では、介護者自身も高齢であるため、日常生活のさまざまな場面で外部の支援が必要になることがあります。
例えば、地域の福祉団体やボランティア組織が中心となった、高齢者向けの見守りサービスや買い物代行、家事支援サービスを提供する取り組みがあります。これらのサービスは、介護者が短時間でも自分の時間を持つことができるようにし、精神的なリフレッシュや自己ケアの時間を確保することを可能にします。さらに、定期的な地域の集まりやイベントへの参加は、孤立感を軽減し、地域住民とのコミュニケーションを促進することで、精神的なサポートを受ける機会を提供します。
地域に根ざした支援活動は、個々の家庭の問題を地域全体で共有し、解決に向けて協力する文化を育むことができます。例えば、地域のコミュニティセンターや公民館で定期的に開催される介護支援セミナーや健康教室に参加することで、介護に関する知識を深めたり、他の介護者との情報交換の場を持つことが可能です。これにより、介護者は孤立することなく、必要な情報や支援を得ることができ、介護の質の向上にも繋がります。
また、地域包括支援センターなどの利用を通じて、専門的な相談や介護サービスの紹介、介護費用の支援に関する情報を得ることもできます。これらの支援を活用することで、老老介護家庭は経済的、精神的な負担を軽減し、より良い介護環境を実現することが可能になります。
つまり、地域社会における支援活動や地域住民との交流は、老老介護家庭にとって多大な利益をもたらします。これにより、介護者と被介護者双方の生活の質が向上し、社会全体で高齢者の支援に取り組む文化が根付くことが期待されます。
介護予防と病院への早期受診が鍵を握る
老老介護の状況を防ぐためにも、高齢者は身体機能の維持や向上を目指し、介護が必要になるリスクを減らすことが肝心です。
介護予防のための運動プログラムには、例えば、ストレッチやライトエクササイズ、水中ウォーキングなどがあります。これらは、筋力の低下を防ぎ、関節の柔軟性を保つことで、転倒のリスクを減らし、自立した日常生活を長く維持することを目指します。また、地域の健康センターや公民館で開催される健康教室では、栄養バランスの取れた食事の重要性や、認知症予防に有効な脳トレ活動について学ぶことができます。
さらに、身体に異変を感じた場合、早期に病院での受診を行うことが重要です。高齢者は、身体の小さな変化も見逃さず、早めに専門医の診察を受けるべきです。例えば、普段と異なる疲れやすさ、歩行時のバランスの悪さ、物忘れの増加、食欲不振、睡眠障害など、日常生活に影響を及ぼすような症状が現れた場合、重大な健康問題の初期兆候である可能性があります。
早期受診の重要性は、特に認知症や脳卒中、心疾患などの病気について顕著です。これらの病気は、早期に発見し治療を開始することで、症状の進行を遅らせることが可能であり、その結果、介護が必要になるリスクを大きく減らすことができます。例えば、認知症の初期段階であれば、記憶力を支える薬の使用や生活習慣の改善により、症状の悪化を抑えることが期待できます。
また、高齢者は転倒による骨折のリスクが高いため、足腰の弱さやふらつきを感じた場合には、整形外科やリハビリテーション科での相談が推奨されます。早期に適切なリハビリテーションを行うことで、筋力の回復を促し、転倒防止につながります。
さらに、心臓病や高血圧などの慢性疾患を管理するためには、定期的な健康診断や医師との相談が不可欠です。これにより、病気のコントロールを保ち、急激な健康状態の悪化を防ぐことができます。
病院での受診は、ただ治療を受けるだけでなく、介護サービスの提案や専門機関への橋渡しといったサポートを受ける機会でもあります。医師や医療スタッフは、患者の状態に応じた最適な治療計画を提案し、必要に応じて介護サービスや支援制度の利用をアドバイスします。これにより、患者とその家族は、介護の負担を軽減し、より質の高い生活を送ることが可能になります。
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2020年9月7日 制定