「介護職はブラック」は本当なのか?
介護職の残業時間の実態とは?
介護職の残業時間に関する認識は、一般に過剰なイメージがありますが、実は他業種と比較して多くはありません。
パーソル総合研究所と立教大学・中原淳教授の共同研究によると、医療、介護、福祉職の月平均残業時間は15.36時間であると報告されています。
意外なことに、全業界の中でも最下位という結果になりました。
違法な残業とその影響
その一方で、介護職の4人に1人が不払い残業、いわゆる「サービス残業」をしていることが、全国労働組合総連合「介護労働実態 調査報告書」により明らかになっています。
労働基準法では、1日8時間、週40時間を超える労働を時間外労働と定めており、これを超える労働には割増賃金の支払いが必要です。労働基準法第37条によると、残業代は少なくとも通常賃金の25%増しで支払われる必要があります。
さらに、1ヶ月の時間外労働が60時間を超える場合は、割増賃金率が50%に上がります。これは、長時間労働のリスクを考慮し、労働者の健康と福祉を守るための措置です。36協定を締結していない場合は、即アウトとなります。
また、36協定を締結していても、協定で規定した範囲を超えて残業をさせることは違法です。36協定とは、労働者代表と使用者が協定することで、法定労働時間を超える残業を可能にするものですが、その範囲内でも月45時間、年360時間を超える残業は原則禁止されています。
なお、サービス残業、つまり残業代を支払わずに労働を強いる行為もまた明確に法律違反です。この違反には罰則が設けられており、事業主は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があります。さらに、労働者が未払いの残業代を請求し、裁判で勝訴した場合、事業主は未払い残業代だけでなく、遅延損害金や付加金も支払う必要があります。
介護職の業務の中でも残業になりやすい業務とその原因とは?
全産業の中でも、比較的残業が発生しにくい介護職。とはいえ、月に約15時間は残業が発生しているのは事実です。それでは、比較的残業の発生しづらい中でも、残業となってしまっている介護職の業務とはどのようなものなのでしょうか。
①勤務時間外の介護記録の記入
勤務時間外の介護記録の記入は、介護現場でサービス残業になりやすい業務の一つです。
介護記録とは、介護職員が日々の業務中に利用者の健康状態、提供したケアの種類、利用者の反応や変化などを記録するための文書です。これには、食事の介助、入浴支援、移動や歩行のサポート、そして日常の会話やレクリエーション活動の様子など、利用者に提供された全てのサービスの詳細が含まれます。
しかし、この重要な業務を勤務時間内に完了することができない場合、職員は自らの時間を使って介護記録を更新することになります。これは特に、人手不足で業務負担が大きい施設や、緊急のケアニーズが多い日などに見られる状況です。
②時間外ミーティングの実施
介護職における時間外ミーティングは、職員が直面する大きな課題の一つです。これらのミーティングは、利用者のケアプランの見直し、スタッフ間の情報共有、事業所運営の改善策の検討など、極めて重要な目的を持って行われます。
しかし、日中は利用者の直接ケアやその他の日常業務に追われるため、職員全員が一堂に会して話し合いの時間を確保することが難しいのが現実です。
その結果、職員は勤務時間外、つまり自分のプライベートな時間を使ってミーティングに参加することになり、これがサービス残業へとつながってしまいます。
③その他残業につながる業務
介護施設において残業が発生しやすい業務のひとつに、緊急時対応や突発的な業務があります。これらは予期せぬ事態に対応するため、従業員は定時後や休日にも出勤することが求められる場合があります。これは、生身の人間を相手にケアを提供する介護職ならではの業務です。
特に夜間や早朝に発生する緊急事態に対応するため、予定されていない残業が発生することが多いです。介護施設では利用者の安全と健康を最優先に考えるため、こうした状況は避けられない側面があります。
サービス残業に直面したら、どう対処する?
比較的残業やサービス残業の少ない介護業界とはいえ、職場によっては労働環境に悩むこともあるかもしれません。そのような場合、どうすればいいのでしょうか。
上司や人事部門への相談
サービス残業に関する問題が起こったら、まずは上司や人事部門へ相談してみましょう。
残業問題が過剰な業務量に起因する場合、人員の増加や業務の再配分などが検討してもらえるかもしれません。また、効率化を図るための新しいツールの導入や業務プロセスの見直しが提案されることもあります。
なお、相談の際には以下に留意することをおすすめします。
①具体的な事例を準備する:自分がサービス残業を行った具体的な日付や時間、そしてそれに伴う業務内容を記録しておき、相談の際に提示できるようにします。これにより、話が抽象的になるのを避け、相談内容を具体的かつ客観的に伝えることができます。
②解決策を提案する:問題提起をするだけでなく、可能であれば自分なりの解決策も提案します。たとえば、業務効率化のための工夫や、残業時間の削減につながる改善策などを考えてみましょう。
③建設的な態度で臨む:非難や批判の姿勢ではなく、職場全体の環境改善を目指す建設的な態度で相談に臨みます。相談の目的は、個人の不満を述べることではなく、より良い職場環境を作ることにあるという点を忘れないようにしましょう。
④秘密保持を求める:個人的な懸念事項を相談する場合、内容が職場内で広まらないよう秘密保持を求めることも重要です。これにより、相談後の職場での人間関係に悪影響が出るのを防ぎます。
労働組合の力、法的支援の活用法
介護職員がサービス残業に悩んだとき、労働組合への相談が一つの有効な手段です。労働組合は、労働者が自主的に労働条件の維持改善を目指して組織する団体であり、サービス残業の問題解決に向けて力を発揮することができます。
労働組合への相談では、団体交渉や争議行為を通じて、未払いの残業代の請求や職場環境の改善を目指すことが可能です。
転職も選択肢、残業のない職場への道
本来であれば、今いる職場の環境が改善されることが望ましいですが、改善が見込めない場合にはストレスの多い職場で働き続けるよりも、残業が少ない、もしくはない施設を探して転職するのもよいでしょう。理想的な労働環境を追求し、プライベートとのバランスを重視する職場選びが、長期的なキャリアと健康の保持に繋がります。
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2020年9月7日 制定