2024年度より、無資格で認知症の方と関わっている介護職員に対する認知症介護基礎研修の受講が義務化されます。
この研修は、2021年の介護報酬改定に伴い義務化していましたが、3年の猶予期間を経て2024年4月以降は完全に研修受講が必須となります。
そこで、本記事では、認知症介護基礎研修の義務化の背景や目的、免除されるケースについて解説します。
2024年4月から認知症介護基礎研修受講が義務化
義務化の背景と目的
2021年の介護報酬改定において、医療・福祉関係の資格を持たない介護職員に対して認知症介護基礎研修の受講が義務付けられました。この措置は、認知症に対する正しい理解のもとで、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳を保障することを目的としています。
経過措置終了後の2024年4月以降、対象者に認知症介護基礎研修を受けさせていない事業所は、行政指導の対象となる可能性があります。
認知症患者数の現状
高齢化社会が進む日本では、2023年時点で65歳以上の高齢者人口が約3623万人、総人口に占める割合が29.1%に達しており、世界で最も高齢者の割合が高い国の一つです。また、日本の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となっており、長寿化も進んでいます。
ニッセイ基礎研究所の研究によると、2020年の時点で日本の認知症患者数は964万人とされ、2040年には高齢者の約46.3%が認知症になる可能性があると予測されています。高齢化が進むにつれて、認知症患者数が増加することを示しており、介護職員には専門知識がより一層求められるようになります。
認知症ケアの質の向上への影響
認知症介護基礎研修を受けた介護職員は、認知症患者とその家族からの信頼を得やすくなり、介護サービスの全体的な質の向上に貢献することが期待されています。
実際、厚生労働省の「認知症介護基礎研修受講義務付けの効果に関する調査研究事業」によれば、受講者自身は研修を受けたことにより「ケアに関する知識の習得」(45.5%)、「ケアに関する考え方の変化」(44.5%)、「ケアの方法の変化」(40.4%)を感じています。
認知症介護基礎研修受講とは?
認知症介護基礎研修の概要
認知症介護基礎研修は、認知症の人への理解深化と質の高いケアを提供するために設計されたプログラムです。この研修は、約6時間のカリキュラムで構成されており、講義と演習の両方を含みます。研修内容は、認知症の人を取り巻く現状の理解、認知症の基礎知識、ケア提供時の判断基準、認知症ケアの基本技術など幅広い領域をカバーしています。また、認知症の人とのコミュニケーション方法や、不適切なケアの理解と回避方法など、実践的なスキルも学べます。
研修の受講方法は自治体や団体によって異なり、集合形式のほか、eラーニングを用いた通信形式での受講も可能です。受講費用や手続きも実施する自治体や団体により異なるため、事前に確認が必要です。一部の自治体では受講料が無料であり、テキスト代のみが必要なケースもあります。全科目を受講し終えると、修了証明書が交付され、修了試験はありません。
受講義務の対象者と免除条件
認知症介護基礎研修の義務化における受講義務の対象者は、基本的に介護職員全員です。これは、認知症患者と接する機会があるすべての職員が、認知症ケアの基礎知識を持つことが重要であるとの考えに基づいています。
しかし、すでに特定の医療・福祉関連資格を持つ者や、認知症ケアに関連する研修を以前に修了している者、特定の教育機関で認知症ケアに関連する科目を受講している者は、この義務から免除されます。
例えば、看護師や社会福祉士、介護福祉士など、認知症患者のケアに関わる専門職の資格を持つ者は、基礎研修の内容が既に彼らの基本教育や専門教育に含まれている可能性が高いため、研修を受ける必要がありません。また、認知症ケアに特化した研修を受けている場合や、看護学校や福祉系の大学などで認知症ケアに関する科目を履修している者も、その教育内容が基礎研修と重複するため、免除の対象となり得ます。
認知症介護基礎研修受講のメリット
資格取得への道
認知症介護基礎研修を受講することで、介護職員は認知症の基礎知識やケアの技術を学び、その後のキャリアアップにつながる認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、指導者養成研修へと進むことができます。
認知症介護基礎研修の受講は、介護職員にとって認知症ケアの質の向上だけでなく、キャリア形成の観点からも大きな意義があります。特に無資格者や介護未経験者が認知症への理解を深め、介護の質を向上させることが狙いであり、将来的には認知症ケアの専門性を高める上級資格へのチャレンジも可能となります。
認知症介護基礎研修と初任者研修のどちらを取得すべき?
無資格の場合、介護職員初任者研修を取得するという選択肢もあります。
認知症介護基礎研修は、短期間で費用も比較的低く抑えて資格を取得でき、認知症患者へのケアに特化した知識を身につけたい方に適しています。一方、介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識やスキルを幅広く学べるため、介護職で長期的に活躍を目指す方や仕事の幅を広げたい方におすすめです。結局のところ、どちらの研修を選ぶかは、個人の目指す方向性とキャリア設計に基づいて決定すべきでしょう。
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2020年9月7日 制定