介護現場の人間関係が悪化する3つの理由
2019年における介護職員の平均勤続年数は、訪問介護員で7.1年、介護職員で7.3年と決して長くはありません(『介護労働の現状と介護雇用管理改善等計画について(厚生労働省)』)。しかし、工夫次第で人間関係を改善し、働きやすい職場環境を作ることも可能です。
介護現場の人間関係が悪化する主な理由として、次の3つが挙げられます。
- 関わる人が多すぎること
- スタッフの属性が多様であること
- 業務過多によるストレス
介護の仕事は、利用者さんやそのご家族、同僚や上司、他職種のスタッフなど、多くの人と関わる必要があります。利用者一人ひとりに対して、きめ細やかなケアを提供しなければならない一方で、それぞれの立場の人との調整も欠かせません。
こうした多方面にわたる人間関係を円滑に保つのは容易ではなく、そこから様々なストレスが生まれてしまうのです。
介護現場には、年齢も経験も価値観も異なる多様なスタッフが集まっています。10代から70代まで、幅広い年齢層のスタッフがチームを組んで働くことも珍しくありません。
こうしたスタッフ同士では、考え方の違いから意見がぶつかり合うことも少なくありません。お互いの立場や背景を理解し合うことの難しさが、人間関係のぎくしゃくにつながっているのです。
介護現場の多くは、慢性的な人手不足に陥っています。そのため、一人ひとりの職員が担う業務量は多く、常に時間に追われる毎日を送っています。心身ともに余裕がない状態が続けば、同僚との些細な行き違いも、大きなストレスに感じてしまうでしょう。
事業所規模別に見ると、職員数が100人以上の事業所では、3年以上勤続する職員の割合が41.6%なのに対し、10人未満の小規模な事業所ではわずか23.1%にとどまっています。

大規模な事業所では、一人ひとりの業務量が適正な範囲に収まりやすいため、人間関係もより安定しているのかもしれません。
人間関係のトラブル事例5選
理想の人間関係を築くためには、まず現状を直視する必要があります。介護現場で実際に起きている人間関係のトラブル事例を5つ挙げてみましょう。
- 新人職員の定着率の低さ
- ベテランパートとの関係性
- 人手不足によるピリピリムード
- 上司の高圧的な態度
- 管理者と現場のベテランスタッフの対立
介護の仕事は、専門的な知識とスキルが求められます。新人職員は、先輩スタッフに教わりながら少しずつ仕事を覚えていくことになりますが、厳しい指導に耐えられず、早期離職してしまうケースもあります。
パートスタッフの中には、長年介護の仕事に携わってきたベテランの方も少なくありません。時に、正社員の若手職員が、そうしたベテランパートスタッフに指導されることもあるでしょう。立場が逆転することへの抵抗感から、関係がこじれてしまうことがあるのです。
人手不足に悩む介護現場では、余裕がない状態が常態化しています。そうした環境では、ちょっとしたミスも大きな問題に発展しかねません。職員同士が冷静に対話する機会を失い、ピリピリとした空気が流れてしまうのです。
管理職であっても、強圧的な態度で部下に接する人はゼロではないでしょう。そうした上司のもとでは、職員は萎縮してしまい、自由な意見を言えなくなってしまいます。パワーハラスメントに発展する危険性もはらんでいます。
介護現場では、管理者と現場の職員との間に軋轢が生まれやすい傾向にあります。特に、ベテランの介護職員は、自分たちのやり方に強いこだわりを持っているため、管理者の方針に反発することも少なくないのです。
こうした問題が解決できず、歯車が噛み合わない状態が続けば、多くの職員が転職という選択肢を考えてしまうことでしょう。2021年の介護関連職種の有効求人倍率は3.64倍となっています。

2019年の4.20倍からは下降気味ではあるものの、人材の確保が難しい状況が続いています。何とか職員を引き留め、定着率を高める方策が求められているのです。
人間関係を良くする7つのコツ
理想的な人間関係を築くためのコツを7つご紹介します。
- 同僚・上司への相談
- 自分の行動・やり取りの記録
- 自分は絶対正しいと思い込まない
- 日ごろから感謝を伝える
- 相手の意見を否定しない
- 悪口に参加しない
- 必要に応じて転職する
一人で問題を抱え込まず、信頼できる同僚や上司に相談することが大切です。自分の感情をコントロールできずにいる時は、客観的な立場の人に話を聞いてもらうだけでも、冷静さを取り戻せるはずです。
日々の仕事の中で、自分がどのような行動を取り、どのように人と接しているかを記録してみましょう。自分の言動を客観的に振り返ることで、改善すべき点が見えてくるはずです。
「自分は正しい」と頭から決めつけるのは禁物です。たとえ相手の意見に納得できない部分があっても、一度立ち止まって考えてみる姿勢が大切です。
何かにつけて「ありがとう」と言葉にすることを心がけましょう。日ごろから感謝の気持ちを伝えていれば、多少気落ちすることがあっても、すぐに関係を修復できるはずです。
相手の意見をそのまま受け入れることはできないかもしれませんが、頭ごなしに否定するのは避けましょう。建設的な対話を心がけ、折り合いをつけられる部分を探っていくことが大切です。
陰口やグチに安易に同調するのは絶対にNGです。「一緒に悪口を言わないと仲間はずれにされる」という不安から、同調してしまう人も少なくないようですが、そうした行為が人間関係を悪化させる原因になっているのです。
努力しても人間関係の改善が見込めない場合は、思い切って転職するという選択肢もあります。自分に合った職場を探すことで、心機一転、新たな一歩を踏み出せるかもしれません。ただし、職場が変わっても、人との関わりはつきものです。転職を重ねてもなかなかうまくいかないという方は、自分自身の人間関係の築き方を見直す必要がありそうです。
より良い人間関係を築くためには、相手の立場に立って考え、広い心を持つことが何より大切です。職員同士の面談の機会を増やしたり、レクリエーションを充実させたりするなど、コミュニケーションの活性化に力を入れることで、職員の定着率アップにつなげることができるでしょう。風通しの良い職場環境づくりが、人材の定着につながるのです。
職場の見つけ方
転職を視野に入れるなら、人間関係が良好な職場を見極める目を養っておくことが大切です。
給与水準が高すぎたり、常に求人を出していたりする職場は、何らかの問題を抱えている可能性があります。もちろんすべての求人が当てはまるわけではないので、しっかりと確認しておきましょう。
また、スタッフの年齢層が若手からベテランまで、バランスの取れた年齢構成であることが理想的です。経験年数に大きな偏りがある職場では、意思疎通がうまくいかないことが多いものです。
介護職員の満足度調査を見ると、「仕事の内容・やりがい」への満足度は52.1%、「職場の人間関係・コミュニケーション」も46.7%と比較的高い水準にありますが、「賃金」への満足度は19.8%にとどまっており、待遇面での不満が大きいことが分かります。

単に給与が高ければ良いわけではありません。総合的に見て、自分に合った職場を選ぶことが肝心なのです。
職場でのNG行為
同僚との人間関係を良好に保つためには、以下のような行為は避けなければなりません。
- キレる
- 威張る
- 拗ねる
感情的になって怒鳴ったり、物に八つ当たりしたりするのは厳禁です。冷静さを失えば、適切な判断はできません。
「自分は先輩だ」「自分は正社員だ」などと威張るのはやめましょう。肩書きや立場ではなく、仕事ぶりで信頼を得ることが大切です。
失敗した時に謝罪せず、逆ギレするなどの行為は信頼を失います。潔く非を認める勇気を持ちましょう。主任やリーダーなど、部下を持つ立場の人は、襟を正して、模範となる行動を心がける必要があります。
まとめ
介護現場の人間関係の悩みは、一人ひとりの職員の問題に留まらず、業界全体の課題です。
本記事では、介護現場での人間関係が悪化する理由を挙げ、実際に起こりうるトラブル事例を取り上げました。さらに、人間関係を良くするためのコツや避けるべき行為をご紹介しました。
職員一人ひとりがコツを実践し、人間関係の改善に向けて自分にできることから始めていくことが大切です。最初は一人の心がけかもしれません。しかし、それが同僚へ、そして施設全体へと波及していけば、やがては大きな力になるはずです。
介護の仕事は、人と人とのつながりを何より大切にする、素晴らしい仕事です。利用者さんの笑顔に励まされ、同僚と支え合える、そんな温かい職場を目指して、皆で力を合わせて取り組んでいきましょう。
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2020年9月7日 制定