地域共生社会の構築のために縦割り行政を解消していく
これまでの社会福祉は、老人介護、障害者支援、子育て家庭など、必要とするニーズによって行政の担当部署が異なり、いわゆる縦割り行政になっていました。横の連携が薄く、利用者にとっては利便性がないものでした。
また、地域支援が、他人事になってしまっているという問題もありました。
そこで、厚生労働省は縦割りや支え手・受け手の域を超えて、関係性をもつすべての主体が我が事として地域支援に参画できるよう、今年度改正される介護保険法と社会福祉法に盛り込まれる見込みです。

2017年2月7日に地域共生社会の実現に向けて、改革工程が発表されました。
介護保険関連法が改正され、現役並みの所得がある人は介護サービスの自己負担を2割から3割に引き上げるなどの方針が柱となります。
しかし、改革はそれだけではありません。
ケアを必要とするすべての人に、ワンストップでサービスが提供できるよう、自治体の側も縦割りを廃し、相談窓口をひとつにして、介護と育児の両方を抱える人などを支えていきたい方針です。
高齢者は同時に、障害を持っているケースも多いため、共生型サービスの導入なども行われていきます。
福祉サービスを一体化させることには、行政の効率化や利便性の向上だけでなく、地域住民が世代を超えてつながり、生きがいのある地域をともにつくっていきたいという思いも込められています。
人材に限りがあり、高齢者が増えている現状、地域の問題は地域で解決してもらいたいという厚生労働省の基本方針です。
サービスの一体化のためには地域スタッフの確保が必要
地域をつなげてワンストップのサービスを実現することは、単に行政の一本化以上の効果をもたらすと期待されています。
たとえば、高齢者が子育てを支援する例。
子供も高齢者とかかわることで、健全な成長が期待できます。
相互に思いやりを持って、地域の中で成長・生活をしていくことができます。
それこそが、高齢化社会の日本においての、高齢者を排除しない共生の生き方のひとつではないでしょうか。高齢者が増えていく現状において、サービスの受け手と、サービスの担い手を分けるのではなく、相互に支え合っていくことが肝心なのです。

大阪府豊中市のように、小学校区ごとに福祉なんでも相談窓口を設置して、気軽に相談できる窓口を設けることも重要です。
現在、豊中市では無償のボランティアによって運営されていますが、ボランティア頼みというのもいただけません。
複数の福祉サービスを提供できる、高度な専門性を持った人材づくりも重要な柱になってきます。
ただし、職員を増やすと財源も必要になることもあり、地域スタッフとして関わってくれる住民の確保や、住民の理解も必要となってきます。
高齢者、障害者、子育て中のファミリーなどが、一般の人とともに歩める社会が必要です。
当事者の声をさらに聞いて、社会保障費をうまく削減するためにまとめるのではなく、住民の満足度の質を向上させることも重要な指針となってくるでしょう。
地域包括支援センターでトータルサービスを機能させる
地域共生社会を実現するためには、地域包括支援センターを機能させることがますます重要になってきます。地域包括支援センターでは、今後高齢者からだけでなく、障害者や子育て世帯からの相談も受け付けます。
1.介護予防ケアマネジメント業務
二次予防事業対象者(かつては特定高齢者と呼ばれた)に対する介護予防ケアプランの作成など。「二次予防事業対象」とは、生活機能低下の恐れがあり、要支援、要介護状態になりかねない65歳以上の高齢者のこと。
2.総合相談支援業務
住民の各種相談を幅広く受け付けて、制度横断的な支援を行う
3.介護予防支援
要支援者に対するケアプラン作成業務
4.権利擁護業務
成年後見制度の活用促進、高齢者虐待への対応など
5.包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
- 「地域ケア会議」などを通じた自立支援型ケアマネマネジメントの支援
- ケアマネージャーへの日常的個別指導、相談
- 支援困難事例などへの指導、助言
6.在宅医療・介護連携
地域医師会と連携し、在宅医療、介護の一体的な提供体制を構築する
7.認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員
認知症の早期診断、早期対応により、認知症になっても住み慣れた地域で暮らせるよう支援する
8.生活支援コーディネーター
高齢者のニーズとボランティアなどの地域資源とのマッチングにより、多様な主体による生活支援を行う
9.地域ケア会議の開催
地域包括ケアシステムの構築に向けたケアマネジメントの充実を図るための会議を行う
地域生活支援コーディネーターの配置を進めて、不足しがちなサービスの拡充に努めていきます。
地域住民が、自分ごととして捉えられるように、仕組みづくりが重要になってくるのです。
生活困難者が、地域社会でうまく生活を営むことができるように、地域を丸ごと支える包括的な支援体制を構築していくことが重要なのです。
地域包括ケアシステムは、老人介護だけの概念でしたが、地域共生社会に概念枠を広げて、厚生労働省が福祉の青写真として新たに打ち出しました。あらゆる困難を持った人に、地域で生きてもらうということを包括していくものです。
ニーズの多様化と複雑化が、人材難をもたらし、現場を支える人材の不足をさらに加速させてしまっています。
それが、このコンセプトに光が当たった背景でもあります。
福祉の哲学を転換し、地域で包括的に共生していくことが需要になってくるのです。
そのためには、地域包括支援センターでの支援が欠かせません。
今後は、社会福祉法にも紐付けていき、種類を問わずに相談事を受け付けられる体制を整えていきたい考えです。
現状では任意である地域福祉計画を策定したりすることを市町村の努力義務とする規程なども盛り込んでいます。
2018年度の予算案では、100か所に及ぶ地域包括支援センターや社会福祉協議会などで実施するために 20億円を計上し、サポートしていきたい考えです。
| 社会福祉法人(53.3%) | |
| 社会福祉協議会(19.0%) | |
| 医療法人(16.0%) | |
| 社団法人(3.0%) | |
| 財団法人(2.0%) | |
| NPO法人(1.0%) | |
| 無回答(1.0%) | |
| その他(2.0%) |
今後は、協力者としてNPO、民生委員、自治会、子供会なども後押しして、相互的にネットワークを結んでいこうという計画です。
民生委員や市民後見人などを支える人材育成が課題
2025年には、団塊の世代が後期高齢者になり、少子高齢化がピークを迎えます。
その際には、支える現役世代の減少だけでなく、スタッフの育成も肝心となります。
2020年代初頭の、我が事・丸ごとの支援の全面展開に向けて、改革と同時に人員の育成も重要課題となります。
また、2018年度には、制度改正と介護報酬の改定もなされる予定です。
改革は進んでおり、人材育成に力を注がなくてはなりません。

まずは2018年までの1年間で、地域課題の解決に向けて、生活困窮者自立支援制度等の見直しについても、検討していきたい考えです。
そして3年後の2020年までには、地域における体制整備の状況を踏まえつつ、地域課題の解決力強化のための体制を全国に普及していきたいと考えています。
制度のあり方を踏まえて、厚生労働省は直近の将来を見据えた検討体制に入りました。
権利の擁護や、虐待関係の業務を含めて、連携して一体に業務を行っていく必要があり、高度な専門性を持った人材を育成していく必要が生じます。
介護と障害・子育てを同時に行うとなると、高度な専門性を持った人材が必要です。
資格なども統一していく必要がありますし、課題は山積しています。
また同時に、地域住民の相互に支え合う力を育んで、民生委員、児童委員、市民後見人など地域生活を支える人材の促進・育成に厚生労働省も乗り出していく必要があります。
地域包括支援センターが相談事業の中心を担っていく
これまでは、介護、障害者、子育て世帯などの支援は、法律も異なり、行政も窓口が異なるなどして、分離していました。
縦割り行政と呼ばれるこれらの分断をあらため、ワンストップサービスとして相談事業を一本化していく必要が生じ、厚生労働省は改革に着手しました。
それは結果として、社会保障関連費用の抑制にもつながります。
こうした状況を踏まえて、今後は、要介護者、障害者、子供・子育て世帯などが孤立せず、地域社会で生きていけるようになるのが重要です。
地域包括支援センターは、その中心となる人々の集いの場所となるでしょう。
厚生労働省の改革は、人が人として生きていくために、地域のコミュニティでのつながりが欠かせないことを私たちに気づかせてくれます。
そのためには、地域の人々が自発的に支援に参加し、それぞれ、協力を行っていくことが肝心です。
また同時に、市町村による人材の育成も欠かせません。
今回の改革は、高齢化社会の未来の姿を示唆してくれるものとなるでしょう。
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2020年9月7日 制定