生活保護の実情、高齢者や無年金者などの問題
高齢者の方々には公的年金を頼りに暮らしている人が少なくありません。月数百円と低い掛け金で現在は数万円の年金を受け取っており、若者に支えられて成り立っている仕組みだといえます。
そんな高齢者に有利な年金ですが、若い頃にさまざまな理由で年金を納めなかった、もしくは納めることができず、無年金・低年金となっている人がいます。
そうした方の受け皿になっているのが、生活保護制度です。
生活保護を受けている高齢者は多く、厚生労働省の資料は65歳を超えて生活保護を受けている人のうち、52%の方が年金を受け取っていない状態を報告しています。いわゆる無年金のお年寄りが、生活保護を受けているのです。
ご存知の通り、生活保護受給者全体の数は増え続けています。
1950年に制定された生活保護法ですが、世帯単位で保護されることから「被保護世帯数」という数値が用いられます。
1955年頃は66万世帯の被保護世帯数だったこの数値、2015年には163万世帯へと増加しているのです。

また、日本全体の景気が良かったバブル期は0.82%と低かった被保護率、不景気が進むとともにその割合は増え、2015年の段階で1.71%となっています。これは戦後の混乱期並の被保護率であり、多くの人のセーフティーネットになっていました。
生活保護を受給している方の約半数が65歳以上の高齢者!
2014年7月の時点で、生活保護の受給者数のトータルは212万人、そのうち92万人の人が65歳以上の高齢者に。この92万人において無年金者は48.3万人で52.2%、つまり約数の方が無年金がゆえに生活保護となっている、ということが見て取れます。
残りの人は低年金で生活していけないことから生活保護を受給しているという形になりますが、金額的には3万円台2万円台が多く、それぞれ8%、6.5%います。
下図は年金を受給している人に限定してその金額を表した円グラフ。
2万円台から6万円台で全体の60%以上を占めています。
| 1万円未満(2万7,322人) | |
| 1万円台(4万1,798人) | |
| 2万円台(5万9,781人) | |
| 3万円台(7万4,370人) | |
| 4万円台(5万6,771人) | |
| 5万円台(4万4,944人) | |
| 6万円台(4万8,760人) | |
| 7万円台(3万3,922人) | |
| 8万年台(2万3,869人) | |
| 9万円台(1万3,015人) | |
| 10万円台(7,982人) | |
| 11万円台(4,567人) | |
| 12万円以上(5,171人) |
国民年金保険は、掛け金に比例する保険的な意味合いも持っている側面があり、低年金という事実は現役時代に納めていた額が少なかったということの結果を表しています。
また、生活保護を受けながらも仕事に就いている高齢者は3.9%。生活保護受給者のトータルでは12.3%の方が就労しています。生活保護受給者の約半数を高齢者が占めている中で、この3.9%の就労率は低いと言わざるをえません。高齢者の就労が難しいという側面がやはり浮き彫りなっていると言えるでしょう。
年金を受給できない背景は制度自体にも潜んでいる!?
一方で、無年金が多い背景にあるのは、必ずしも高齢者が納付を怠ったという理由だけではありません。
年金制度そのものにも、一部問題点があるといえます。
最近までは、公的年金は25年間納付しなければ受給することはできず、24年11ヶ月の納付となった人は公的年金を受給することはできなかったのです。
そこで政府は、加入期間25年に満たないという理由で年金が受けられない人を救済するため、年金加入期間を10年に変更しました。これによって、新たに約64万人の方が年金受給資格を得ることができるようになったのです。
| 送付時期 | 年金請求書が送付される方 ※年金を受け始める年齢は男女で異なります |
|---|---|
| 2月下旬~3月下旬 | 大正15年4月2日~昭和17年4月1日生まれ |
| 3月下旬~4月下旬 | 昭和17年4月2日~昭和23年4月1日生まれ |
| 4月下旬~5月下旬 | 昭和23年4月2日~昭和26年7月1日生まれ |
| 5月下旬~6月下旬 | 昭和26年7月2日~昭和30年10月1日生まれ(女性) |
| 昭和23年7月2日~昭和30年8月1日生まれ(男性) | |
| 6月下旬~7月上旬 | 昭和30年10月2日~昭和32年8月1日生まれ(女性) |
| 大正15年4月1日以前生まれ |
しかし金額は少なく、25年間満期で納めて約6万5,000円だったものが、10年間の納付では約1万6,200円となります。約64万人が1万6,200円の公的年金を受給すると、103億6,800万円の支給になります。
仮に全員が生活保護を受給していたとすると、約103億円の保護費削減になるのです。
公的年金も一部税金が入っているので国民が負担していることには変わりはありませんが、年金を受給して生活保護費を使わないという選択肢は、国にとっても重要であるということがわかります。
若い頃は収入が少なく、納付を断念してしまっていた人も相当数いるはずで、たとえそれが少額であっても、年金があるということは精神的にも支えとなる筈です。
10年の納付は、50歳から60歳までの納付でも許容されます。
自分の老後が心配になってからの年齢でも十分間に合うのです。
現役世代へのウェイトが大きい現行年金制度
公的年金の問題点は他にもいくつかあります。
まず、現役世代に負担を強いていることになっているということ。
現行の公的年金は積立方式ではないため、若いうちに払った年金を老後に取り崩しているわけではありません。
そのほとんどが、現役世代の若い人が納めた年金で支払われているのです。
さらに国民年金は民間の保険と違い、公的扶助、セーフティーネットの側面がありながらも現役時代の収入に応じて支給額が増減するという点。現役時代に収入が多く、老後資産を形成している人に多額の年金を支払うということになっています。
これでは格差は開き、貧困問題はより拡大する一方となってしまいます。掛け金に応じて受給額が増えるのであれば、それは公的年金ではなく私的年金の側面が強くなってしまいます。本来であれば収入が少なく、保険料を納めることが困難な人ほどセーフティーネットの中で守っていくべきではないでしょうか。
国民年金の場合、現在の保険料は月額約1万6,000円程度。
支払う余力がない人ほど年収に反比例して保険料を安くし、満額受給できるような仕組みを考える必要もありそうです。
現役時代に十分な資産形成ができず、老後に重篤な病気になるなどさまざまな理由でたくさんの高齢者が生活保護受給者となっています。
また「生活保護を受けることは恥」と考え、年金だけで最低生活ライン以下の生活を送っている人がいるのも事実なのです。
公的年金と生活保護に法律上・倫理上の課題がある以上、個人としてできることに「仕事をするという選択肢」があります。「1億総活躍社会」のスローガンの下、シルバー世代の雇用も少ないながら増え、老後も働くという時代へ移り変わっています。
穏やかな老後という概念が通用しなくなる社会で生涯に渡って働く時代が近づきつつある中、自分を守りながら強く生き抜けるような将来設計が現役世代には必要です。
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2020年9月7日 制定