農家の人口、高齢者の割合は約4割にものぼる!
高齢者労働の実態について何度か報告してきた通り、いわゆる「老後」と呼ばれる年齢になっても働いている高齢者は増えています。
2012年における総務省統計局の産業別にみた農業・林業の高齢者就業率は45.1%でした。働いている高齢者のうち、約半数の高齢者が農業・林業で働いているのです。

また、2016年度の農家人口は465.3万人。
対総人口比3.7%が農業に従事しています。
そして、その465.3万人に対し、65歳以上の人は184.7万人。
農家人口のうち、実に39.7%の人が65歳以上で、2010年には34.3%だったものが2016年には39.7%となっています。
| 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 農家人口 | 650.3 万人 |
616.3 万人 |
586.4 万人 |
562.4 万人 |
538.8 万人 |
488.0 万人 |
465.3 万人 |
| 対総人口比 | 5.1% | 4.8% | 4.6% | 4.4% | 4.2% | 3.8% | 3.7% |
| 農家人口に占める 高齢者数と割合 |
223.1 万人 |
212.6 万人 |
205.8 万人 |
203.2 万人 |
201.6 万人 |
188.3 万人 |
184.7 万人 |
| 34.3% | 23.3% | 35.1% | 24.5% | 25.4% | 26.2% | 26.9% |
これは、従事者の年齢そのものが上昇していることに加え、新規就農者が入ってこないことによる平均年齢の上昇もあるでしょう。
農業・林業は他産業に比べて圧倒的な高齢化率を誇ります。
たとえば建設業では9.3%、サービス業では14.1%の高齢化率に対し、農業・林業の45.1%は驚嘆に値するでしょう。
働けるうちはいつまでも!?農業・林業従事者の現状とは
一般的に、高齢者雇用では7割程度が非正規雇用となっています。これは定年退職して再雇用されたケースが多いものと考えられます。もしくは壮年期に受けたリストラ後の再就職が厳しく、そのまま非正規雇用になだれ込んだ可能性もあるでしょう。
しかし、農業は再就職ではなく、若いうちから就農し再雇用ではない場合がほとんどです。雇用されている場合は少なく、ほとんどが自営業者なのです。
65歳~69歳のうちは「自分ひとりで農作業を行っている」「自分が中心となって農作業を行っている」が合計73.8%、70歳~74歳は65.5%、75歳以上でも50%となっています。

また、産業別に退職希望年齢を見てみると、72.2%の農林漁業72.2%の従事者が「働けるうちはいつまでも」と答えており、就労意欲の高さを実感させられます。
65歳未満で引退したいと考えている人は非常にわずかであり、農林漁業に従事する方の多くが体が動く限り仕事をしたいと考えているようです。
高齢者は地域的かつ社会的な活動として、「産地直売」「朝市」「都市住民との交流」「伝統芸能」「祭り」「地域文化の継承」などを行いたいと考えている傾向があるようです。
高齢になっても意欲的で、総じて農業従事者は生産意欲が高いことがよくわかります。
体が動く限り野菜やお米などを作って販売して対価を得たい、そして祖先伝来の土地を守りたいという強い意識があるのです。
農業において、高齢者の死亡事故が多発している…
一方、農業には高齢者にとって危険な側面もはらんでいることが明らかとなっています。
農林水産省の調査によって、2015年には338件もの事故が発生していることが分かりました。
そのうち284名、84.0%が65歳以上の事故なのです。
下のパイチャートは、農作業中の事故割合を項目ごとに表したもの。
| 乗用型トラクター(101件) | |
| 歩行型トラクター(21件) | |
| 農用運搬車(25件) | |
| 自脱型コンバイン(8件) | |
| 動力防除機(10件) | |
| 動力刈払機(7件) | |
| その他(33件) |
高齢になると認知能力の低下とともに、身体機能も衰えていきます。そのためトラクター農用運搬車やコンバイン、動力防除機や動力刈払機などの機械に巻き込まれるという痛ましい事故が起こっているのです。
2006年からの調査でも年間300人を上回り続け、2015年は338人とやや減ったものの、依然として高い水準です。やはりそのうち約6割以上が、農業機械作業にかかる事故。農業機械の操作が複雑になったことなども理由として考えられます。
こうした農業の事故を未然に防ぐため、一般に言われるように若手の継承をサポートしていくこと。
そうでなければ事故件数を大きく減少させることは難しいでしょう。
事故件自体は微減しているものの、年間で300人の高齢従事者が事故にあっていることは見逃せない問題と言えます。
そのためには若い労働世代が入っていくことが重要で、その参画なしには農業の発展にはつながりません。都会の生活に疲れ、田舎で農業を営みたいと思っている若い人は潜在的に多いものと考えられており、そのあたりの流入が期待されるところでしょう。
しかし、新規就農にはなかなか大変なハードルがあります。農地を購入、あるいは借用することで農園を作り、一年間無収入で収穫をする。それでも一年後に収入があるかどうかはわからない上に、JAなどからの借り入れも大変な状況となっているようです。
働き方改革の波は農業にも
農業従事者そのものが減っているにも関わらず、日本は飽食(食べることに不自由がないこと)の時代に突入しています。これは海外からの食品の輸入が増えたと同時に、農業そのものの生産性が大幅に向上しているためです。
農業は大規模に行うほど収益性が向上することがわかっています。
「働き方改革」は農業の世界にも必要なのです。
新規就農者が増えないのであれば、それは一部受け入れ側にも問題があるのかもしれません。
そうした課題を乗り越え、若手に高齢者の農作業をサポートしてもらうことで高齢者への重労働負担・事故は減らしていけます。
輸入による飽食状態の一方で、品質の高い安全な国産食品を食べたいというニーズは存在し続けます。
そのため若い担い手を増やし、今の農業生産を引き継いでいくことは重要な課題となるでしょう。
現役世代の労力・人を大幅に誘致するための大掛かりな施策が必要となっています。
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2020年9月7日 制定