高齢者の間で登山がブーム…でも、その影には事故も
2010年頃「山ガール」という言葉が世間に登場しました。その影響もあって裾野が広がり、全年代に登山が人気です。それほどお金がかからない割に、まるで海外旅行に行ったかのような“非日常感”を楽しむことができるのがその人気の理由です。
また、体力の増強に役立ったり、コツコツ積み重ねることができたり、それほど激しい運動を必要としないのも、幅広い年代で登山が楽しまれているわけでもあります。
しかし、手軽にはじめられる一方で、経験の浅い登山者を中心に、痛ましい事故が発生しているのもまた事実です。
たとえばこの2017年8月だけでも、北海道の日高山系幌尻岳にてパーティが流されてしまいました。8人組だったのですが、3人が行方不明になり、そのうち60代男性と70代男性の2人が亡くなってしまいました。下山中の事故でした。
北アルプスの針ノ木岳でも、登山中の70代男性が倒れ、県警ヘリで病院へ急遽搬送したのですが、そのまま亡くなりました。登山道で急に倒れたとのことでした。どちらも、死者がでており、登山のリスクを考えさせられてしまいます。
2017年のゴールデンウィーク(4月29日~5月7日)の間に、日本各地で発生した登山による事故詳細を警察庁が発表しています。
それによると、遭難件数が167件、遭難者数が190人と、件数は前年比較で4件増加、人数は前年比較で6人減少しています。
死者は合計で27人発生しており、半数以上の15名が、60歳以上の登山者でした。
また、2名の行方不明者も依然として発見されていないままです。
2011年の死者31人についで、統計開始以降2番目の人数となってしまいました。
総務省統計局の調査によると、登山やハイキングを趣味としている人、行動者の数は、合計約972.7万人。
全体の9%が登山・ハイキングを趣味としています。
男女別にしてみると、男性が494.5万人で9.4%、女性が478.2万人で8.6%となっています。
男性の方がやや登山趣味の方が多い傾向にあります。

年齢層は、60歳前後の方のボリュームゾーンとなっています。年齢がある程度高くなると、登山やハイキングを趣味とする人が増えるというのと、この世代は第一次ベビーブームに誕生した団塊の世代であることから、人口比における人数が多くなるものと考えられます。
しかし、平均行動日数でみてみると、70歳以上の方がもっとも登山やハイキングに日数を費やしているようで、男性は15日以上、女性は10日以上を趣味に投入しています。

全国的な分布で見てみると、東京都の人数割合が13.9%となっており、やはり人口の多い東京都で登山を趣味としている方が多いようです。ついで奈良県、神奈川県、埼玉県となっており、関東や近畿などの都市部で登山を楽しんでいる方が多いようです。
目立つのは70歳以上の遭難者。その数、年間26名!
しかし、そんな登山が人気の中で、事故が起こってしまいます。
日頃から北アルプス登山客の救助要請などを受けている岐阜県警の発表によると、2012年の段階で全国の遭難発生件数は1,988人、遭難者数は2,465人となっています。
死亡者15名のうち、4人の死亡が50歳以上なのですが、これは、登山中の急な発病も含んでいます。
遭難者を年齢別に見てみると、50歳以上の中高年において、遭難件数が一気に増加することがデータから明らかになっています。
2013年の調査でも、県内の遭難者114名のうち、50歳から59歳が24名、60歳から69歳が33名、70歳以上が26名となっています。

とくに2013年に限っては、70歳以上の遭難者も目立ち、高齢者の登山事故・遭難が多いことがわかります。
遭難状況からわかる、高齢者登山の課題
こちらも岐阜県警が発表したものですが、遭難者の状況から、高齢者の登山における課題が見えてきます。
それによると、やはり、まずは遭難事故の約7割を超える割合において、中高年、とくに高齢者の登山者が遭難しているという現実を見る必要がありそうです。
データからもわかるように、年を重ねるほど、無謀な登山で遭難してしまうパターンがあとを絶ちません。
しかし、登山における遭難は、一歩間違うと命を失いかねない事態です。
「若い頃には登山を何事もなく楽しめたのだから」という成功体験を引きずっていることや、中高年になってからの体力、健康などの差を考慮せずに無理な計画を立てている、そして実際に無理な行動をして、それが遭難事故を招いている…というケースも多いようです。
また、年をとって体力が低下しているにも関わらず、無理をして登山を強行した結果、疲労が蓄積し、行きはよくても帰りの下山中に事故が多く発生しているという点も見逃せないでしょう。
登山中の発病なども意外と多く、登山は気が付かないうちに身体に負担をかけているのではないか、という懸念も生まれます。
中高年の趣味における登山は、組織に属して行うものではないため、熟練者からの指導を受ける機会が乏しく、登山のルールなどがわかっておらず常識も備わっていない…という場合もあるかもしれません。
一方で、インターネットの側にも問題はあります。山の楽しみ方や山ガールのファッションについて、また、成功体験や醍醐味などを配信したサイトは多いのですが、山の危険性、そして登山についての専門性を発信した情報は意外と少ないのです。
登山がレジャー化したことで、山に登るというよりは観光に近い感覚で登山する人が増え、自分の命は自分で守るものという感覚が薄れているというのもあります。
また、携帯電話、スマートフォンなどの普及によって、簡単に救助要請してしまうので救助要請が増えている、という点も岐阜県警は指摘しています。
登山中の遭難を未然に防ぐ商品も登場
危険性は確かにありますが、とはいえ登山は、体力を充実させてくれ、精神的にも満足感があり、山で人と触れ合うことでコミュニケーションの欲求も満たせるとても良い趣味ではあるでしょう。
しかし、遭難等の危険に遭遇しないように、しっかりとした装備をし、対策を練っていくことも大切です。
そしてそれらの準備は、個々人が自分で責任を持って行わなければなりません。
アウトドアレジャー人口の増加を受けて、遭難を予防するデバイスなども開発されています。
カバンに入れて山に登れば、家にいる家族はサイトから位置を確認できます。
いざという時はHELPボタンを押せば事務局にコールすることもできます。
24時間監視してくれて、頼りになります。
長距離無線技術を使って山の中でもつながるようになっており、電池だけで数年稼働します。
こうした最新の機器などにも頼りながら、山を楽しんでいくという手もあります。
誰かが助けてくれる、という他力本願ではなく、自分の力で登って降りるという自助努力をすることが大切です。
どうしても困ったときは救助にヘルプを出しても構いませんが、基本的に山は自己責任だと考えておいたほうが良いでしょう。
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2020年9月7日 制定