死因第3位を占める肺炎について
皆さんは肺炎についてどのようなイメージを持っていますか?日本では高齢者がなる病気のひとつとして認知されていますが、世界では若年者がかかりやすい病気として知られているのです。
なぜ、日本と世界とではこうも認識が違うのでしょうか?今記事では肺炎についてを深く掘り下げていきます。
肺炎は若年者が発症しやすい病気だった!?

厚生労働省によると、肺炎にかかって亡くなる人の割合は主な死亡原因で亡くなる方全体の9.4%を占め、悪性新生物(がん)の28.7%、心疾患の15.2%の次に多くなっています。肺炎は世界的に見ても、死亡率の高い病気なのです。
驚くべきことに、海外の肺炎で亡くなる年代はおもに児童や乳幼児と若年者に多く、2015年には肺炎が5歳未満の子供の死因理由として15%を占めています。また、世界中で見ても92万人の子供が肺炎で死亡しているのです。
しかし日本にとっての肺炎は、高齢者が多くかかる病気として認知されているのではないでしょうか。では、なぜ「日本の肺炎」は高齢者の死亡原因としてイメージが定着しているのでしょうか。その理由のひとつには喫煙率の高さが関係しています。
ひと昔前まで、喫煙はごく当たり前の光景だったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。喫煙率は女性より男性が高く、今から約15年前は男性の約5割が喫煙をしていました。
若い頃のタバコの影響で肺炎患者が急増中⁉
そうしたタバコ習慣を持った人達が今、高齢となって肺が弱くなってしまったために、肺炎にかかってしまった可能性があります。そう考えると、今の若年者は昔と比べると喫煙者は少ないため、彼らが高齢者になるころには肺炎の死亡率は高くないのかもしれません。
また、ワクチンや抗生物質の問題もあると考えられます。たとえば抗生剤は、細菌によって肺炎が引き起こされた場合に使われますが、日本においては医療機関で抗生剤が過剰に出されていると指摘されています。
風邪だと診断されても、効かないのに処方されるというケースが多く、過剰診察や誤診察につながる可能性があります。
ワクチンは肺炎球菌に効果的なものがありますが、あまり普及していないのが現状です。
そういった要因が重なり合って予防ができていないということになるのです。
なぜ高齢者は肺炎を発症しやすいのか

厚生労働省の調査によると、肺炎による死亡率は年齢を重ねるほどに増えていきます。たとえば肺炎は、60代の死亡原因第5位を占めています。それが70代になると第4位、90代では第2位となるのです。
この事実は年齢ときれいに相関しており、90代に至っては、がんよりも死因として多くなることがわかります。
上記の通り、肺炎は悪化すると死に至る危険な病ですが、自身で抵抗力を上げ、なおかつ肺炎が流行している場所へ不用意に近づかないことで、発症する可能性を下げることができます。
抵抗力の問題は高齢者にとっては難しいですが、高齢での死亡原因として肺炎が非常に多いことを意識し、人混みを避けていくことが大切です。またワクチンも有効なので、医療機関と相談して効果的なワクチン摂取を考えると良いでしょう。
免疫や抵抗力の問題だけでなく、食べ物を飲み込む力や噛む力などの衰えによって誤嚥することで肺炎が起きることも高齢者にとっては考えられるケースです。食べ物を横になって食べたり、固形物を食べると誤嚥性肺炎が起こる可能性が高くなります。
肺炎になる高齢者特有のきっかけに注意
特に高齢者になると脳梗塞や脳出血、認知症で体が思うように動ず、噛むことが難しくなるというケースがあります。これは、高齢者が誤嚥性肺炎を起こしてしまう典型例として有名です。
誤嚥は何度も起こすのでとても辛く、段々と全身の状態が悪化して体が弱っていきます。高齢者の場合は体が肺炎にかかっていても自覚症状がわかりづらく、発熱も起こらないために発見が遅れ、結果として重症化してしまうのです。
それに加えて、高齢者は特養や老人ホーム、病院といったコミュニティに入っていることが多く、肺炎の集団感染になりやすいというケースも考えられます。これらの結果、高齢者の肺炎が多くなり、それが死亡率の高さにつながってしまうのです。
現代日本の医療は高齢者自身の自己負担が少ないため、とても恵まれた環境と言えるでしょう。とはいえ、アメリカ等と比べて日本は軽症の肺炎が多いという調査もあり、マイルドな治療が選択されがちです。
しかし、高齢者に限っては死に直結する症状を引き起こすこともあり、警戒しなければなりません。細菌性肺炎や誤嚥性肺炎などを起こさないよう、高齢者自身も気をつけていく必要があるでしょう。
肺炎についての理解を深めよう!
医学的に見ると、人類の歴史は、肺炎といった感染症との戦いでもありました。人類における肺炎での死亡率を見てみると、今からちょうど100年前にスペイン風邪が流行り、インフルエンザや二次性細菌性肺炎で多くの人が亡くなっています。

そして大戦を経て抗生物質等が開発され、死亡率が急激に下がりました。
国民皆保険なども導入されたこともあって、医療が一般にも行き渡るようになり、肺炎による死亡者数も減少します。
しかし、1980年に入ると日本は超高齢社会へと移行し、これまで見てきたとおり肺炎の死亡率が再度増加傾向にあるのです。
肺炎は、ワクチンや嚥下の工夫などによって予防することができます。では、肺炎がなくなれば日本人の平均寿命は伸びるのでしょうか?
肺炎予防は"意識"するに限る!
これについてはレポートがあり、肺炎が仮に日本からなくなったとしても、あらゆる年齢層において平均寿命が伸びるのは1歳以下でしかないというのがそうの内容にあたります。
そのために肺炎を積極治療すべきか、それとも緩和ケアだけにするのかという議論もあるのです。
いずれにせよ肺炎を起こして亡くなってしまう高齢者は非常に多いものの、他の病気で亡くなるということは大いに考えられます。
これまで、肺炎は高齢者が感染しやすいということをお伝えしてきました。世界的に見ると子供の死亡率が高いのですが、日本においては治療されるケースがほとんどのため、高齢者がかかりやすい病気と認知されているのが現状です。
死亡率が非常に高いことを意識するだけでも、肺炎の感染を下げることはできます。知識を身につけて肺炎を予防し、心配な場合は医療機関に相談してみましょう。
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2020年9月7日 制定