2017年も人口減少には歯止めがきかず
人口減少の原因は出生率にある
人口が減少の一途を辿っていると言われる昨今、2017年時点の最新データでは、日本全体の人口が1億2,477万8,000人と過去最低水準となっています。
それに付随して発表された関連項目には134万人(前年比3万6,000人増)を記録した死亡者数や、2万人(同1,000人減)にものぼってしまった死産数となどがありますが、中でも特徴的だったのは出生数です。

2017年の年間出生数は94万1,000人(推計値)で、これは統計が始まった1899年以降最も少ない値。2016年に史上初めて100万人を割り込む97万6,978人となり、2017年はそこからさらに約3万6,000人の減少となりました。
日本の総人口数は2005年に初めて前年比減に転じ、2007年以降は年々減少を続けています。
2014年から2017年にかけての過去3年間だけを見ても、なんと100万人以上もの減少となっているのです。
出生数の減少が続く限り、日本の人口は今後も年々減っていくのは確実。
後に詳しく考察するように、一人当あたりの税金負担が増えるなどの問題へとつながっていくのです。
日本という国、出生の歴史をみる
日本の出生数は第1次ベビーブーム(1947~49年)時点で年間約270万人、第2次ベビーブーム(1971~74年)の際には年間約210万人へ達していました。
しかし、1975年からは急速に減少を続け、1984年には150万人を割り込むまでになります。年号が「平成」となってからは前年比プラスに転じる年があったものの、傾向としては緩やかな減少が続き、今や100万人を切るまでになったわけです。
また、出生動向基本調査によると、「未婚者が希望する子供の数」は1982年当時で、男性が平均2.34人、女性が2.29人でしたが、2015年には男性が1.91人、女性が2.02人にまで減少しています。
さらに、「夫婦の理想的な子どもの数の平均値」は1977年時点では2.61人でしたが、1997年では2.53人、2005年では2.48人と年々減少し、2015年では2.32人となっています。
こうした夫婦が望む子どもの数の減少に伴い、実際の合計特殊出生率(15~49歳の女性が出産する子どもの数の平均)も年々低下。
第1次ベビーブームの1949年には4.32人、第2次ベビーブームの1974年には2.14人でしたが、2005年には過去最低の1.26人となりました。
ここ数年は微増傾向が続き、2016年には1.44人となったものの、かつてと比べると大幅な減少となっているのは明白です。
日本の出生率はなぜ低下したのか
子育てや教育にはお金がかかりすぎる?

では、なぜ出生率は低下しているのでしょうか。
出生動向基本調査によれば、「妻の年齢別に見た、理想の子ども数を持たない理由」として最も多かったのは「経済的理由」という回答でした。
その中でも「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と答えた人は30歳未満で76.5%、30~34歳で81.2%、35~39歳で64.9%、そして40~49歳で47.6%となっています。
子育てや教育にお金がかかるのは自分の子どもに高い学歴を持ってほしいと親が望むからです。
その根拠の一つとして、未婚者に対する「自分の子どもにどのくらいの教育を受けさせたいか」というアンケート調査では、「男の子に大学以上の教育を受けさせたい」と答えた人は男性で69.1%、女性では77.8%、「女の子に大学以上の教育を受けさせたい」と答えた人は男性で61.1%、女性で65.3%に及んでいるというデータが存在しているのです。
「出産するなら子どもには大学以上の教育を受けさせたい。しかしそこまでの経済的余力がない…」ということが、子どもを持つことを躊躇させる大きな要因となっているわけです。
晩婚化により出生率が減少する?
また、出生数が下がる別の原因には「若者の晩婚化・非婚化」があります。平均初婚年齢は1985年時点で夫が28.2歳、妻が25.5歳でしたが、2015年では夫が31.1歳、妻が29.4歳と年々上昇しています。
論理的には晩婚化が進んでも生涯に産む子どもの数自体が多ければ出生率低下には影響しません。しかし統計上、出生率と晩婚化には明らかに相関関係があり、これらが深く関わりあっていることがわかっています。
そして、晩婚化と共に増加傾向にあるのが生涯未婚率です。
国立社会保障・人口問題研究所の調査(2015年)では、50歳までに結婚の経験が一度もない人は男性で23.37%、女性で14.06%と、5年前に比べて男女それぞれ3.23ポイント、3.45ポイント増となっています。
高度成長期の頃は男女とも1~2%台だった生涯未婚率、この半世紀のうちに大幅な上昇をしているというデータは見逃すことのできない事実でしょう。
このまま少子化が進むとどうなるのか
社会保障に関わる税負担の増加
少子化もさることながら、現在の日本では年々高齢化が進んでいます。1960年の高齢化率は5.7%でしたが、1980年には9.1%、2000年には17.4%と急速に上昇を続け、2017年10月時点では27.7%となっています。
今後さらに上昇していくのは確実とみられ、第1次ベビーブームの世代(団塊の世代)が後期高齢者(75歳以上)となる2025年には30.0%、第2次ベビーブームの世代が前期高齢者(65歳以上)となる2035年には32.8%となる見込みです(「平成29年版高齢社会白書」より)。
高齢化が進むと、医療や年金、福祉などの社会保障給付費が増大することは不可避であり、実際にここ数年の推移をみても、2011年時点での社会保障給付費は108兆2,682億円というとてつもない額に。
これが2013年では110兆7,736億円、そして2015年には114兆8,596億円と年々過去最高額を更新しているのです。
社会保障給付費を支えるのは、主に生産年齢人口(15~64歳)が納める税金。
少子化が進むと生産年齢人口が減少していき、国民1人あたりが負担する社会保障費(税)の額が上昇することになります。
実際、2014年度の国民1人あたり社会保障給付費は88万1,600円、翌2015年度は同90万3,700円となっており、2014~15年度だけで2万2,100円も上がっているのです。
日本と諸外国の少子化対策
この状況に対して、現在は政府が主体となり、さまざまな少子化対策が行われていますが、その取り組みの一つが「地域少子化対策重点推進(強化)交付金」。
これは交付を受けた各都道府県が「結婚・妊娠・出産・育児」に関する情報提供や環境整備、支援のための仕組みづくりを行うものです。

一方で少子化は日本だけが直面している事態ではなく、海外でも多様な少子化対策が実施されています。
上記のグラフをご覧ください。
2015年の各国の合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)を見ると、イタリアや韓国、香港や台湾などは日本よりも深刻な状況なのです。
そんな中、海外における少子化対策の成功例として知られているのがフランスとスウェーデンの取り組み。
フランスは家族給付の水準が高く、特に3人以上の子どもを持つ家庭への支援が手厚いのが特徴です。
また、スウェーデンでは過去40年以上に渡って経済的支援の施策を進め、児童手当制度や育児休業制度など、充実した保育サービスに関する施策を実施し、高い成果をあげてきました。
少子化は現代日本が直面する深刻な問題。諸外国の施策も参考にしながら、日本人の特性にあった少子化対策を構築していくことが急務であるといえるでしょう。
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2020年9月7日 制定