全国で猛暑日を記録!厚労省が熱中症対策のリーフレットを作成
介護現場での活用が見込まれる
2019年5月の25日、26日は全国各地で異例の高さを誇る気温を記録しました。日本の各所で30℃を超える真夏日となったほか、北海道の佐呂間町では気温が39℃を超える猛暑日となるなど、梅雨入り前にもかかわらずかなりの暑さとなっています。
こうした気象状況を受け、厚生労働省は熱中症への注意を喚起するリーフレットを作成。
このリーフレットでは、こまめな水分補給をするべきとしているほか、室内では扇風機やエアコンを用いて温度を調節したり、遮光カーテンやすだれ、打ち水を行って室温を調節するべきと提案しています。
また、外出時に日傘や帽子の着用、日陰を利用してこまめな休憩をとる、天気の良い日は日中の外出を控えるべきとのアドバイスも記載。
ほかにも、熱中症が疑われる人を見かけた場合の対応についても記してあり、同省は、このリーフレットを介護現場での活用を見込んで配布をしています。
緊急搬送された熱中症者のうち半数が高齢者
先述したリーフレットによれば、熱中症の危険が高い人として子どもや高齢者を挙げています。
特に問題となるのは高齢者で、消防庁が昨年行った発表によれば、昨年の8月5日までに熱中症で緊急搬送された7万1,266人のうち、半数にせまる48.2%が65歳以上の高齢者であったことが判明しています。

18歳以下の子どもが占める割合は、7歳以上18歳未満が14.4%、生後28日以上7歳未満が1.0%と、こちらもあわせて15%程度となっていますが、高齢者に比べると少ない割合です。
また、今年の5月に消防庁が発表した資料では、5月13日から5月19日の間に熱中症を理由として緊急搬送された人は516人となっており、そのうち高齢者が47.5%と、やはり半数程度を占めているのです。
このことからも、高齢者が熱中症にかかる可能性は高いと考えられるでしょう。
また、高齢者においては、熱中症だけではなく、下痢や発熱、あるいは大量の発汗などによって体内の水分が失われることで起こる脱水症の危険も高いとされています。
この脱水症の予防が、熱中症の予防にも密接な関係があるため、高齢者はその両方に注意する必要があるでしょう。
高齢者が熱中症になりやすい理由はエアコンを使わないから
高齢者の水分の保有量が減少する
高齢者が熱中症や脱水症を起こしやすい理由はいくつかありますが、中でも大きな理由としては、高齢になると体内で保有できる水分の量が減ってしまうことが挙げられます。
乳幼児の体内水分量が約70%から80%、成人が約60%であるのに対して、高齢者は約50%まで減少。そのため、下痢や発汗などで水分の流出が行われると、子どもや成人よりも早く脱水症状になってしまうのです。
また、高齢者は体の抵抗力が弱くなっていることや、体温調節の機能が加齢によって下がっているので、下痢や発熱などを起こしやすいということも関連しています。
もうひとつの理由としては、高齢者は感覚機能が低下することにより「喉が渇いていることを感じにくい」ということがあります。とくに認知症の方の場合は、水を飲むことを忘れてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
そのほか、高齢者は高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかっている方が多く、こうした人の場合は、医師の指導などにより水分摂取を控えている人がいるというのも、理由のひとつでしょう。
こうした人々は、夏場と冬場で摂取していい水分量が異なる可能性があるため、主治医に確認するなどして、適切な水分量を季節によって変えることが重要です。
高齢者のうち冷房が苦手な人が50%以上も存在
身体的な特徴以外にも、高齢者が熱中症をおこしやすい原因があります。
それは、若年層に比べると、エアコンをはじめとした冷房器具を使わないということ。
これは、高齢となって代謝が落ちるために、寒さに対して弱くなることにくわえて、暖かい環境を快適と感じてしまうことが多いのが理由として挙げられます。
こうした冷房が苦手な人は基本的に女性が多いことにくわえ、男性でも高齢者になると割合は高くなります。
空調メーカーのダイキンが2012年に実施した調査によれば、夏場のエアコンによる冷房が苦手だと答えた人は、60代の男性で50.0%、女性で58.7%、70代男性では57.9%、女性では64.4%。
いずれも半数以上です。

また、「エアコン自体が贅沢品であるためにつけない」「電気代が高くなるためにつけない」という意識がある人も高齢者には多いことも理由のひとつでしょう。
こうしたことがあるために、熱中症で緊急搬送された高齢者のうち、59.8%が住居からの搬送となっています。
高齢者の5人に1人はエアコンを所持していない
設置費用が高いことも原因のひとつに
そもそも、エアコンを持っていない高齢者が多いのも事実です。内閣府の消費動向調査によれば、2019年における世帯別のエアコン普及率では、60歳以上の単身世帯では79.8%と、エアコンの普及率は8割以下にとどまっています。

つまり、60歳以上の単身世帯では、5人に1人がエアコンを持っていないということになるのです。
また、同じ資料の世帯年収の集計をみると、年収300万円以下の単身世帯では80.5%と、同じく5人に1人がエアコンを持っていないというデータも存在しています。
単身世帯の高齢者は、年収が低い人も多いと考えられており、エアコンを設置したくても、費用の問題からできない高齢者が多いということです。
実際、エアコンは設置費用まで含めた場合は、コストが高くなります。また、単身世代においては、自分が我慢すれば問題ないという思考にいたりやすいことから、エアコンの普及率が低くなっている部分もあるでしょう。
見守りサービス・電気代の割引でフォローを
こうした状況を解決するために、各県や企業ではさまざまな施策を行っています。まず、九州電力では夏場、75歳以上の高齢者がいる家庭の電気代を10%割り引くという、エアコンを使いやすくする対策を昨年実施しています。
ほかにも、大田区では高齢者の見守りを地域包括支援センターの職員や区の職員が訪問して行うほか、同センターを高齢者の熱中症予防に関する相談窓口にする、区の施設を市民の涼める場所として開放するなどの対策を実施。
福岡市でも、高齢者に温度計のついた予防カードを配布し、熱中症のリスクが高くなった場合、警報音がなる「暑さ指数計」を高齢者の見守りに役立ててもらうべく、ボランティアに配布するなどの対策を今年から試験的に行うとしています。
昔は、エアコンといえば贅沢品というイメージがありましたが、今は身体を守るインフラのひとつ。エアコンがないせいで、命を落としてしまうのは忍びありません。今後、高齢のエアコンがない人たちに対して、国がどのようにフォローしていくのか、注目です。
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2020年9月7日 制定