高齢者の視力低下には様々なリスクがある
視覚障害が認知機能の低下とかかわりがあることが明らかに
近年、視覚障害が生じている高齢者の認知機能は低下しやすいことが、各種研究により明らかになってきました。
例えばアメリカでは60歳以上の高齢者約3,000人を対象とした調査をもとに、新聞が読めない、テレビが見えないなどの視覚障害を持つ場合、認知機能障害や認知症の発症リスクが1.9倍~2.6倍になるという研究結果が発表されました。
加齢が進むと、目がかすむ、ぼやけて見えるなど、見えにくさを感じることは増えるものです。しかし、「もう年だから」と年齢のせいにして、見えにくいままにしておくのは危険。認知機能低下を招かないために、早めに必要な矯正、治療を受ける必要があるわけです。
視覚は五感を通して得る情報の8割を占めるともいわれています。もし高齢者の方で視力に異常を感じたら、対応を講じることが大切です。
「見えているつもり」が危険を招く可能性がある
では、高齢になると目が見えづらくなるのはなぜでしょうか。
目には水晶体と呼ばれる部位があり、これが目のピントを合わせるためのレンズの屈折、ピントの調節、紫外線などの有害な光を遮断するなどの役割を果たしています。
しかし加齢が進むにつれ、水晶体の弾力は次第に失われていき、さらに水晶体を支える毛様体という部位の働きも低下していくので、ピント調節機能が衰弱していくのが一般的です。
こうした状態になると、裸眼のままでは日常生活に支障を来すようになってきます。
さらに、老化の症状によっては、動体視力や静止視力も衰え、対象の状態に関係なくあらゆる物が見えづらくなってきます。このような症状は加齢が進めば誰にでも生じうる症状です。

必要に応じて目に合った老眼鏡をかけて、弱くなったピントの調整力・視力を補う必要があります。
ところが、高齢者は自分自身で視力の低下を自覚できないケースが少なくありません。自分はまだ問題なく認識できていると思っていても、よくよく注意を向けてみると、うまく認識できていないということが多いのです。
普段から自動車や自転車を運転している方の場合、視力低下の自覚症状がないことは極めて危険といえます。本人が気づけない場合は、家族や友人など、周囲の人が注意を促す必要もあるでしょう。
高齢者が注意すべき「白内障」
白内障の手術で認知機能が改善することも
高齢者の場合、特に注意すべき視覚障害として「白内障」があります。加齢を原因として発症するケースが多く、早い場合は40歳ころに発生し、80歳を超えるとほとんどの人がある程度の白内障の状態がみられるといわれています。
眼科できちんと治療・手術を受ければ、白内障で失明に至る可能性は低くなります。日本では白内障による失明率は3%程度で、その場合も病院に行かずに放置したのが主な原因です。白内障の手術を行ったことで、認知機能が改善したというケースもあります。
目へのストレスを避けることが予防につながる
白内障の症状は、水晶体の細胞内にある「クリスタリン」というたんぱく質の異常変質が主な原因です。
クリスタリンはもともと小さな物質であり、本来であれば水晶体を濁らすような事態を引き起こしません。ところが、クリスタリンを構成するアミノ酸が加齢などさまざまな原因によってストレスを受けることにより、異常に大きなサイズの塊に肥大化してしまうのです。
クリスタリンが肥大化することで、水晶体を通過するはずの光が目の奥に届かなくなる、反射して異様に眩しくなる、といった症状が発生します。つまり白内障は、たんぱく質の異常によって生じる病気なのです。
白内障を予防するには、アンチエイジング(抗加齢)に取り組むことが有効といわれています。
白内障は加齢とともに発生することが多いため、抗加齢、抗酸化の考え方に基づく適度な運動やバランスの取れた食事を取ることが予防のうえでは大事です。
また、睡眠不足や過度に紫外線を浴びること、脱水症状なども、目にストレスを蓄積する原因となるため、控えるように心がけましょう。
ケアマネに多い白内障手術に対しての勘違い
ケアマネの約4割が白内障手術で失明の可能性があると回答
白内障の治療を受ける際にネックとなるのは「手術への恐怖心」。白内障の治療は薬では難しく、眼科で手術を行うのが一般的です。
この手術は安全に行うことができ、術後に眼内炎を発生するリスクはあるものの、手術によって視力の低下・失明などの事態に陥ることはほぼありません。
ところが、「白内障の手術を受けると視力の低下を招く」「失明の恐れがある」と考える人は少なくありません。また、高齢者に介護や老後生活の指針を与える役割を担うケアマネージャーの中に、誤った認識を持っている人が多いようです。
「ケアマネジメント・オンライン」が行ったケアマネージャーを対象としたアンケート調査(複数回答)によると、白内障の手術に対して「失明の可能性」があると回答した人は40.9%、「視力の低下」があると回答した人は過半数の58.3%にも上っていました。
さらに、白内障の手術によって視力が回復し、改善が期待される認知機能についても、「認知機能悪化のリスクがある」と回答した人が32.2%に及んでいます。
しかし実際には、白内障手術の成功率は99.7%です。
大半の患者は1回の手術で視力回復が見込めます。ケアマネージャーの誤解に感化されて、白内障の治療を適切に受けようとしない高齢者・利用者も多いのではないか、とも推測されます。
白内障検査は積極的に
白内障は自覚症状が難しいですが、以下のような項目が診断のための参考になります。
- 物がぼやけたりかすんだりして見える
- 物が二重、三重に見える
- つまづいて転ぶことが多くなった
- 目が疲れやすい
- 光が眩しく感じられる
- 暗い場所で以前よりも物が見えにくくなった
- 老眼鏡をかけてもよく見えなくなった
- テレビの字幕が以前より見にくくなってきた
- 左右の目の見え方の差が大きい
- 人の顔がわからないときがある
該当項目がある場合、眼科に相談してみましょう。
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2020年9月7日 制定