免許返納者数は過去最多を更新した
自主返納は60万1,022件で増加傾向
加齢による運転機能の衰えを感じている人、または運転をすることがなくなった人は、「運転免許自主返納」に基づき免許証を返納できます。
警察庁の運転免許統計によれば、2019年にこの制度を利用して免許証を自主返納した件数は60万1,022件にのぼり、前年比で42.7%増。過去最高を記録しました。

2016年以降の自主返納者数のグラフを見てもわかるように、近年、免許証を自主返納する件数は増加傾向にあります。
その理由のひとつとして挙げられるのが、高齢者による事故です。
2019年に池袋で発生した高齢ドライバーの暴走事故など、高齢ドライバーの踏み間違いや逆走が原因の重大事故はたびたび起こっています。
自主返納者数はこのような事故の直後に急増していることから、事故をきっかけに運転免許自主返納制度の認知度が向上し、高齢ドライバーの家族が運転をやめるよう説得するケースも増えています。
4月4日に改正された「道路交通法改正案」とは?
道路交通法とは、「道路交通法は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」法律です。
1960年に制定されて以来、道路交通の最新情勢に応じて改正が行われています。
例として、携帯電話が広く普及した1999年の改正では、運転中の携帯電話の使用が禁止され、2019年には「ながらスマホ」の罰則が強化されました。
最新の2020年の道路交通法改正案には、あおり運転の罰則に加えて高齢ドライバーの運転技能検査の義務化が盛り込まれました。
通常国会でこの改正案が成立すれば、「あおり運転」は今夏、高齢ドライバーの技能検査義務化は2022年にも導入される見通しです。
そして2020年4月4日に施行された改正道路交通法では、新たに自動運転の実用化を見据えた法整備や規定の新設が盛り込まれています。
実は「高齢者の事故件数」はそれほど多くない
「高齢者の死亡事故」は報道によるイメージが強い
近年、高齢ドライバーが引き起こす交通事故は大きく報道されることがあり、ニュースで目にする機会が多いと感じることも多いのではないでしょうか。
しかし、警察庁の交通事故統計表によれば、年代別の交通事故件数で最も高いのは16~19歳の未成年で、次いで20~29歳、80歳以上という統計が出ています。
つまり、実際は高齢者の事故件数は群を抜いて高いというわけではありません。では、なぜ高齢ドライバーの事故が大きく報道されているのでしょうか。
その理由は、事故の内容にあります。
先ほどの統計を死亡事故に限ってみると、運転免許証保有者数で算出した10万人あたりの死亡事故件数は、80歳以上が突出して多いことがわかります。
ニュースで多く報道される交通事故は、死亡事故が多いものです。
そのため、死亡事故を起こす割合が比較的多い高齢者の交通事故が報道されやすいことが、「高齢者は事故を起こしやすい」という印象につながっているのです。
高齢ドライバーの事故原因には、加齢による身体機能の低下、アクセルとブレーキの踏み間違いなどの操作ミスが多く見られます。
道路の逆走のような重大な事故を引き起こす可能性が高いミスを起こすケースもあり、「うっかりミス」では済まない結果をもたらすことも予想されます。
地方では生活のために免許返納できない人も
高齢ドライバーの運転ミスの多発と死亡事故の割合の高さ、そして事故の報道の多さなどから、「高齢ドライバーは免許証を返納するべき」という声が高まっています。
免許返納をすれば運転ができなくなるため、交通事故の原因を断つことが可能ですが、そう簡単に返納できない人が多いのも事実です。
2019年に日本自動車工業会が実施した軽自動車使用実態調査によれば、軽自動車はユーザーの3割が高齢者です。「ほとんど毎日乗っている」と回答した人は7割以上にのぼっています。
軽自動車のうち、キャブバンは商用、トラックは農業用で使用されていることが多く、キャブバンは4割、トラックは5割以上が65歳以上の使用者と判明。軽自動車が仕事に必要不可欠であることがわかります。
また、地方では車は必需品。車がなければ生活ができないといわれるほどです。
人口密度が低い地域ではライフラインのひとつとされており、60代以上の約8割が「軽自動車がなくなったら困る」と回答。約6割が「(60歳を超えても)運転を継続したい」と答えています。

このように、車には高齢者の生活の維持にかかわる生活必需品という側面があります。そのため、免許証を返納したくてもできない人は多いと考えられます。
運転継続のために高齢ドライバーが知っておきたいこと
「サポカー補助金制度」が3月よりスタート
特に地方の高齢者は、免許を返納して車が運転できなくなると、生活に大きな影響が出ます。
年齢を重ねるにつれて運転技術に必要な身体能力が衰えていくなどの問題も発生する中で、どうすれば高齢ドライバーとして運転を続けていけるのでしょうか。
その糸口のひとつとなるのが、「サポカー」です。
サポカーとは、高齢ドライバーの事故対策として経済産業省と国土交通省が推奨する、自動ブレーキを搭載した安全運転サポート車の愛称です。
さらにペダルの踏み間違い時に備えた加速抑制装置が搭載されている車は、「サポカーS」とされており、さらに車線逸脱警報や対歩行者の自動ブレーキなどの有無により3種類のカテゴリーに分けられます。
国もサポカーの普及を推進しており、2021年11月以降の新車を対象として段階的に衝突被害軽減ブレーキ装着を義務付け、世界に先駆けた交通事故削減策を打ち出しています。
しかし、サポカーは既存の車に機能を追加できるものではなく、新たに車を購入する必要があります。高齢者の場合、新車購入のハードルが高いこともあるでしょう。
そこで、2020年3月より65歳以上のドライバーを対象に「サポカー補助金」の制度が開始されました。
サポカー補助金制度では搭載する機能によって補助金が異なり、加速抑制装置と対歩行者の自動ブレーキ両方を搭載していれば、最大で10万円の補助が受けられます。
車がないと生活が困難という高齢者は、今後、サポカー補助金制度を利用しつつ、安全運転のための機能を搭載した車を新たに導入することを検討できるようになります。
未来の交通事故対策「自動運転」とは
車の自動運転は一昔前では夢のような話でしたが、現在実用化に向けて開発が進められています。
日本では2020年4月の改正道路交通法施行により、一定条件の下でレベル3までの自動運転が可能となりました。
自動運転にはレベル1~5までの5段階があり、以下のように定義されています。
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|---|---|---|
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単一機能 | - |
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複数の機能の統合制御 | - |
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一定条件下での自動運転 | 緊急時を除き、すべてのシステムで運転ができる車両。動作が停止したなどの緊急時には、ドライバーが操作を行う。 |
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特定の場所で、システムがすべての操作を行う。 | |
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場所を制限することなく、システムがすべての操作を行う。 |
上の表のように、今回運転可能となったレベル3の自動運転車は、すべての運転がシステムで自動的に行ってくれます。しかし、「それならば居眠りをしてもいい」というわけではありません。
改正道路交通法によれば、整備不良車両である場合、または使用条件を満たさなかった場合に、ただちに操作できる状態であることがドライバーに求められています。
そのため、自動運転車で事故を起こした場合はドライバーの責任となります。
レベル4、5の自動運転車はまだ実用化されてはいません。とはいえ、今回はじめてレベル3の自動運転車の使用が許可されたことにより今後自動運転技術の開発が進み、さらに高性能な自動運転車が登場する可能性もあるでしょう。
未来の交通事故対策の一環として、自動運転車の技術進歩と普及が望まれます。
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2020年9月7日 制定