今年も熱中症シーズンが到来した
2019年は7万人以上が救急搬送されている
これから迎える梅雨が明けると本格的な夏がやってきます。この時期は、暑さによる「熱中症」に注意が必要です。
総務省の発表によると、2019年5~9月の熱中症による救急搬送人員は累計7万1,317人。2018年の9万5,137人と比較すると2万人以上減少しましたが、それでも約5ヵ月間に7万人以上が熱中症で体調不良を訴え、130人近くが死亡しています。

さらに年代別で見ていくと、高齢者(満65歳以上)の救急搬送人数が最も多く、3万7,091人(52.0%)。次いで成人(満18~64歳)が2万4,884人(34.9%)となっています。
そのため、高齢者は特に体調に注意が必要です。
熱中症は真夏だけではなく、5月頃の夏前から増加し始めます。気温が高い日はもちろん、湿度が高い日、急に気温が高くなった日も、熱中症の危険性が高まります。
これから多くなるであろう梅雨の晴れ間や梅雨明け後の気温が高くなる日は、まだ体が暑さに慣れていません。急に気温が上がると、汗を排出してうまく体温調節をすることができなくなるため、熱中症が起こりやすいのです。
高齢者に多い熱中症…その症状と原因は?
熱中症とは、気温が高い環境で体温調整がうまくいかず、体内の水分量や塩分量のバランスが崩れることによりさまざまな症状を起こす病気です。
代表的な症状には、めまいや頭痛、体温の上昇などが挙げられますが、熱中症の重症度により症状も変わってきます。
| 分類 | 詳細 |
|---|---|
| Ⅰ度(軽度) | ・症状は大量の発汗や立ちくらみなど ・応急処置で対応できる |
| Ⅱ度(中等度) | ・症状は頭痛や嘔吐、倦怠感など ・病院への搬送が必要となる |
| Ⅲ度(重度) | ・症状は痙攣や意識障害など ・集中治療が必要な場合もある |
立ちくらみのほか、歩けなかったりこむら返り(ふくらはぎに起こる痙攣)が見られたりするなどの症状は、熱中症の判断基準のひとつとなります。
また高齢者に熱中症が多い理由は、加齢により体内の水分量が減っていることや体温調節機能が低下しているためと考えられています。
さらに高齢者は、発熱や下痢、大量の発汗による「脱水症」になりやすく、これを予防することが熱中症の予防にもつながります。
新型コロナ対策で熱中症の被害が拡大する可能性も
新型コロナ対策のマスクが熱中症の要因に?
今年は新型コロナウイルスの流行により、感染予防のためのマスク着用が外出時に必要不可欠になっています。
これまでは、主に風邪やインフルエンザが流行する冬、花粉症の症状が出る春にマスクを着用する人は多かったものの、梅雨以降にマスクを着用することは多くありませんでした。
そこで不安視されているのが、「マスクによる熱中症」です。
大型連休中には、すでに夏日や真夏日を記録している地域も出ています。気温が上がる季節を迎え、猛暑の中でもマスクの着用が求められます。
マスクには、「呼吸による水分の発散を防ぐ」効果があると言われています。しかしその一方で、マスク内に息がこもりやすく、熱を持った息を吸うことで体温が上がりやすくなります。
喉の乾きを感じにくくなったり、熱の発散を妨げてしまったりすることもあるため、熱中症を引き起こすリスクが高くなってしまうのです。
室内でも熱中症に…エアコンの未設置や使用控えが要因だった
熱中症は、必ずしも暑い屋外にいるときだけ発症するわけではありません。
強い日差しを避けて屋内にいるときでも、熱中症になるケースは少なくないのです。
消防庁が2019年6~9月に行った調査によると、高齢者の熱中症での救急要請が最も多く発生した場所は「住宅等居住場所」(56.1%)で、全体の半数以上に上っています。

加えて、京都民主医療機関連合会が行った「在宅高齢者の熱中症予防のための訪問調査」では、在宅高齢者世帯の16%がエアコン未設置であったことも明らかになっています。
一方、エアコンが設置されていても、使用時間が2時間未満という世帯が26%を占めていました。
背景として、高齢者は暑さを感じにくいことや、暑さを我慢しがちであること、経済的な理由でエアコンの使用を控えがちであることが考えられます。
そのため、外出を避けて自宅にいる間に熱中症になってしまう可能性が高くなります。
「熱中症警戒アラート」をチェックして適切な予防を
「熱中症警戒アラート」による情報発信が始まる
熱中症予防のため、政府は2021年5月から「熱中症警戒アラート」の本格運用を開始すると発表しました。
来年の本格運用前に、2020年7月より関東甲信越地方の1都8県で先行実施が始まります。
これまで多くの場合、環境省発表の「⾼温注意情報」が熱中症対策の指標に使われてきました。
しかし、気温や湿度、地面や物体から発する「輻射熱(ふくしゃねつ)」から熱中症の危険度を示す「暑さ指数(WBGT)」の方が、高温注意情報よりも熱中症の搬送数に関わりがあることが統計データで明らかとなっています。
そこで、環境省と気象庁がWBGTを活用した熱中症の警戒アラートをテレビやメールなどで発し、注意喚起を行う仕組みがスタート。WBGTの発表基準は33度に設定され、この基準を超える場合に警戒情報が発信されます。
熱中症警戒アラートが、熱中症予防につながることが期待されます。
基準となる暑さ指数(WBGT)に注意している人は10%未満という現実も
実は、熱中症警戒アラートに使用されるWBGTは、今回新たにできた指標ではなく従来からあるものです。
高湿度下では汗が蒸発しにくいため、体からの放熱がしづらくなることから、WBGTの構成比率は気温1:湿度7:輻射熱2と、湿度が重要な数値となっています。
つまり、湿度の高さが熱中症に大きく関わっているのです。
先述の高温注意情報は、単純に気温が35度を超えると見込まれる際に発表されるものであり、湿度は考慮されていません。35度未満でも湿度が高い場合、WBGTは高まるため、高温注意情報が出ていない日でも熱中症警戒アラートが出ることが十分あり得るのです。
しかし、WBGTの認知度は高温注意情報よりも低く、2018年に環境省が行った調査によれば、「WBGTを暑さの参考にしている」と回答した人は10%にも満たないことがわかりました。

また、計測機器メーカー「タニタ」による調査では、WBGTを知らない人が回答者の58%、「熱中症予防の参考にしている」と回答した人はわずか4.7%という結果も出ています。
熱中症を予防するには、WBGTを気にかけることが重要です。
熱中症警戒アラートが本格運用になるのは2021年からですが、環境省の熱中症予防情報サイトではWBGTの情報提供を実施しており、全国各地のWBGTの値が「危険」「厳重警戒」「警戒」「注意」「ほぼ安全」の5段階でわかりやすく示されています。
これらの情報を活用しつつ、暑さ対策や水分補給を行い、十分な熱中症予防を心がけましょう。
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2020年9月7日 制定