株式会社アイケアが運営する静岡県静岡市の小規模多機能型居宅介護施設「あいの街高松」で働く介護士・望月くるみさんにお話を伺いました。望月さんはデザイン専門学校を卒業後、映像制作や飲食サービスの仕事を経て2019年に現職に。プライベートでは、家族のお世話やボランティア活動に勤しんでいる望月さん。介護の仕事について、「利用者様から学ぶことが多いです」と笑顔で語ります。

更新
望月くるみアイコン
Profile 介護士 望月 くるみさん

1992年生まれ。デザイン専門学校卒業後、映像制作会社に就職。人と接する仕事を志望し、食品小売店に転職。約2年間勤務の後、ハローワークで介護資格の案内を手にし、介護職員初任者研修資格を修得。2019年、新設されたあいの街高松に1期生として就職。6人姉弟の長女として大家族の中で育った、根っからのお世話好き。

経歴
2014年~2016年 映像制作会社に就職
2016年~2019年 食品小売店で勤務
2019年4月~ アイケア入社
長所 明るい
短所 そそっかしい
趣味 読書
特技 メッセージカードづくり

大家族で育った境遇が介護士になる理由のひとつに

以前はどのような会社で働いていたのですか?

映像制作会社です。当時、注目され始めた「プロジェクションマッピング」の仕事に憧れ、自分でもつくりたいと思ったからです。勤務はハードでしたが、約2年間頑張りました。

学生時代は、グラフィックデザインの勉強がしたくて地元の専門学校に通っていました。商店街や地元企業と連携して、学生目線で地域を輝かせるためにマーケティングのフィールドワークに力を入れていた学校だったので、実践を通して貴重な経験ができました。

映像制作の仕事はやりがいがありましたが、自分は人と接する仕事のほうが向いていると気づきましたね。 転職したのは食品販売店で、販売業務やパッキング作業が主な仕事でした。お客様やパート仲間と世間話をしながらの仕事は楽しくて、自分の性格にあっていたと思います。

その後も、人と接する仕事でのステップアップを考えていました。

介護職にはいつ関心を持ちましたか?

ハローワークで介護職の資格取得案内のチラシを見つけたことが、きっかけです。祖母が介護施設に入っていたので、自然と興味を持ち、チラシを手に取りました。今後に活かせると思ったこともあり、「介護職員初任者研修」の資格を取得しました。

人のお世話をすることが向いていると思ったことも理由のひとつです。我が家は両親と6人姉弟の8人家族です。当時は幅広い世代がワイワイ暮らす賑やかな家庭でした。そういった境遇もあり、人のお世話をするのがあたりまえの生活だったのです。

また、ボランティア活動もひとつのきっかけになりました。ボランティアではいろいろな世代、境遇の方々とお話をします。その経験が人と接する仕事である介護職へのハードルを下げてくれたのだと思います。もともと年配の友人が多かったので、人生の先輩方の経験談を聞くのが今とても楽しいです。

  Before After
雇用形態 パート パート
業種 飲食業 小規模多機能型居宅介護
職種 販売員 介護士(訪問介護・施設介護)
勤務時間 シフト制 8:30〜17:30
休日 週休2日のシフト制 週休4日のシフト制
仕事内容 販売・
パッキング
身体介助・
生活支援

異業種からの転職者が多く、新しい介護施設を選んだ

現在の職場を選んだきっかけは何だったのですか?

転職活動の中で、たくさんの介護施設を見学させてもらいました。「あいの街高松」を選んだ理由は2つあります。1つ目は、自宅から近距離で、新しい施設だということ。2つ目は、本社スタッフの方々が親切で、異業種からの転職者も多く、安心感があったことです。

介護経験なしの新人だった頃は、経験豊富なベテラン介護士にくっついて必死に業務を覚えましたね。私が働く事業所には、中核拠点として研修センターが併設されていました。そのため、働きながら研修を受けることもできて勉強しやすい環境なのも魅力のひとつでした。

「小規模多機能型居宅介護施設」とは、どんな施設ですか?

施設介護と訪問介護、デイサービスとショートステイが混在しているものです。1対1で向き合う訪問介護と、1人で大勢をみる施設介護は、それぞれ向き不向きがあると言われます。私はどちらも好きですね。ご事情に沿っていろいろな形態でのサービス提供ができるのは、とてもやりがいがあります。

望月さんのお仕事内容を教えてください。

身体介助と生活支援が私の主な業務です。具体的には、食事とトイレの介助です。

お食事は施設で過ごす利用者様にとって、とても楽しみで、大切なひとときです。おいしくご飯を食べられるよう、ペースに合わせて食事を口に運びます。ご自身でお茶を飲める方には、コップが傾いてこぼれたりしないよう、手を添えたりします。

また、ご自分でトイレに行くのが困難な利用者様には声かけをし、車椅子からトイレへ移動するお手伝いをします。体力が要りますが、トイレへ行くことがストレスにならないようにすることは、利用者様により快適にお過ごしいただくうえで重要な作業です。

出社して体調が優れない方がいるときは、自分の手洗いや検温が終わり次第、その方の具合や、水分や食事が十分にとれているかを確認します。帰宅時は、夜勤者にその方の容態や当日のご様子、悪化した場合の対処法などを伝えて1日の仕事は終わりです。

職場に尊敬している方はいますか?

うちの管理者です。判断力に富み、「利用者様に何が必要か」を的確に指示してくれます。また、利用者様だけでなくスタッフのことも考えてくれていて、仕事以外のことも含め、チームとして働けるように環境を整えてくれます。とても尊敬できる上司です。

利用者様に寄り添い、尊重する気持ちが大切

介護の仕事に就いてからの2年間を振り返ってみるといかがでしたか?

身体介助をするとき、「利用者様の『できること』と『できないこと』を見極め、こちらがすべてやってしまわないようにする」ということが、なかなか難しいと感じています。 また、利用者様の体調の変化にすぐに気づけるよう、日々のちょっとした顔色の変化も見逃せません。緊張の連続で、「ああ、この人の命を預かっているんだなあ」と実感します。

利用者様は、開所時からずっとお世話をさせていただいている方が多いです。中には私が就業してからお亡くなりになった方もいらっしゃって、そのときは自分の無力さを痛感しました。今は「こちらができることを、精一杯して差し上げる」ことに尽きると思っています。

利用者様ご本人や、ご家族との接遇で気をつけていることは何ですか?

利用者様は人生の大先輩ですから、知識や常識などを「教えてください」という気持ちで接しています。意思疎通が難しい方でも、ちょっとした気遣いや想像力を働かせながら、「こちらがやること」「相手にお願いすること」のバランスをとるよう努めています。

レクリエーションの時間には、特別なことをやる、というよりも、ささやかな一瞬一瞬を大切にしたいなあと思っています。例えば、名前を逆から読んで盛り上がるとか、そんな何気ない時間ですね。

ご家族とのコミュニケーションでは、こちらから積極的にご説明したり、お声掛けしたりするよう心がけています。介護現場は、一般の方にはわかりづらい専門的な制度や技術も多くあるためです。

今まで担当された利用者様で、印象に残っている方はいますか?

よくお世話をさせていただいたAさんです。身体介護や生活支援が特に必要な方ほど、印象深いですね。一人ひとりに寄り添い、その方の大切にしている考え方や、習慣、仕草から読みとれる情報を基に介助させていただいています。

プライベートでの過ごし方を教えてください。

メッセージカードをつくって、友人や知人に渡しています。本や雑誌で見つけた素敵な言葉やポジティブになるパワーワードを手書きしたものです。言葉って実際に書いてみると、自然に身体に取り込まれるような気がしませんか?自分自身、言葉の力を実感するし、カードを渡した相手も同じように喜んでくれたりすると、満ち足りた気持ちになります。

最近書いた気に入っている言葉は、「識別力のある人は冷静さを保つ」です。ネガティブな気持ちになると的確な判断ができなくなるので、「言動を悪くとったりしない」「広い視野で考え、冷静に行動する」というものです。私が尊敬する管理者も、まさにこれを実践しているような人です。私もそうなれるよう精進しています。

また、美術系の歴史書や家族が使っている理科の教科書などが好きで、よく読んでいます。介護は人とのコミュニケーションが大事な仕事なので、会話の「引き出し」は多ければ多いほどいいし、その意味で過去に勉強してきたことや経験した仕事は何ひとつ無駄ではないと思います。

緊急時にも冷静に対処できる介護士になる

仕事をするうえでの「マイルール」はありますか?

「穏やかさを保つこと」と「辛抱強く親切に行動すること」です。あと、介護は体力勝負なところもあるので、自宅での筋トレやウォーキングは欠かさないようにしていますね。

介護士としての目標を教えてください。

現場での経験を積み、緊急時など、どんなときも平静を保って対応できるようになりたいです。利用者様に積極的に話しかけて、どんな方とも良い関係を築ける介護士が理想ですね。

職場でやりたいことは比較的実現できているように思います。新型コロナが収束したら、利用者様とお花見に行きたいですね。

今後、プライベートでもチャレンジしたいことはありますか?

もう少し日常に余裕ができたら、凝った料理にチャレンジして友人たちとディナーやティータイムを楽しみたいと思っています。例えば、天ぷらなどですね。私はゴボウとニンジンの天ぷらが大好きで、上手に揚げることができるよう試行錯誤したいですね。

介護業界への転職を考えている方に一言お願いします。

介護の仕事は「支えを必要としている人を助け」、同時に「自分も学べる」、とてもやりがいのある仕事です。利用者様も私もお互いに人として与えるもの、与えられるものがあって、それが相手の生きがいや幸せにつながっているって素晴らしいことだなあとつくづく思います。

それに、人生の悩みを年長の方々に相談できる環境は、私たち若い世代にはありがたいものですよ。ぜひ興味があれば、チャレンジしてほしいですね。

撮影:遠藤写真事務所

求人の詳細
はこちら
株式会社アイケア