超高齢社会でホットなトピック、それは旅行!
2014年、70歳以上の人口は2,400万人でした。この数字が高齢化のピークとなる2048年頃には、3,100万人まで増加することが見込まれています。

およそ1世紀を生きる人の数も増え、70歳以上にならないと高齢者とは言わないという日が近づいてくるかもしれません。
要介護の人口比が変わらないとすれば、2014年に568万人いた要支援・要介護の人数が、2050年には1,000万人と現在よりも7割増えると試算されているのです。
この増え続ける高齢者人口を商機へ変えられるのではないか、と言われているビジネスのひとつが旅行業界です。
2013年の訪日外国人の年間宿泊数は3,350万人。ですが、日本人による宿泊数は年間4億3,240万人で、市場規模が非常に大きいことがわかります。2017年のインバウンド数は更に増えていますが、日本在住の日本人が、各地を旅行するというニーズは非常に大きなものであることが、国土交通省の調査でわかっています。
ここで注目すべきポイントは、70歳以上からは旅行回数が減ってしまうという点です。「介護が必要」や「身体機能低下」といった健康問題がその大きな理由であり、旅行に行きたくとも行くことができないという人が増えてしまうという現実があるのです。
旅行によく行くのは、やはり20代の若者や60代の引退世代。70歳以上は体が動かないというのが大きな理由で、旅先にバリアフリーが整備されているかどうかがわからないという一面が大きなネックとなるようです。
2048年、3,100万人の高齢者に旅行をしてもらえるよう整備をし、この層の旅行回数をなんとか増やすことができれば市場の拡大や内需の拡大に大きく貢献することができるのではないでしょうか。
| はい(85.9%) | |
| いいえ(14.1%) |
上パイチャートは、家族に要介護者をもつ方々に「要介護者がもっと旅行できるようになると良いかどうか」を訪ねた結果です。非常に多くの方が、身体の非自由な人の自由な旅行を肯定的にとらえていることがわかります。
高齢者が旅をすることの影響力は凄まじい!
実際に、高齢者が国内旅行にでかけるとなると、市場規模はどのぐらいの大きさに膨らむのでしょうか。70代以上の人が今の60代と同じだけの旅行をすればと仮定した数値を元に試算してみましょう。
国内旅行の平均単価が5万3,000円、2040年に70歳以上が2,981万4,000人と仮定、そして60代の平均旅行回数が年間1.41回で70代が1.00回だということをふまえると、
53,000円×2,981万4,000人×(1.41回-1.00回)=約6,500億円
となり、約6,500億円もの経済効果があることがわかります。

これは同伴者がいないケースを考えています。同伴者がいれば市場規模はさらに伸び、経済効果は1兆円を超えることになります。旅先で積極的な消費活動をすれば大きな影響が発生、地方の活性にもつながっていくでしょう。
70歳以上になると、ひとりで旅するよりも同伴者をみつけてグループ・夫婦で旅行するなどのパターンが増加すると考えられます。
日本中を旅し、まだ見ぬ自然の景色や建造物、地域のお祭りなどに参加してもらうことは、高齢期を楽しく過ごすこと、あるいは文化的な理解を深める面でも大いに役立つでしょう。
高齢者がお出かけにアクティブではない理由とは!?
しかし、いくら市場に可能性があるといっても自発的に旅行にでかけてもらうためには、日本全国のバリアフリー化が整備されていなければなりません。高齢者の体が衰えても旅行しやすいような施設やサービスを、旅先が整える必要があるといえるでしょう。
中には設備投資が必要なものも含まれる可能性はありますが、旅行検索サイト等でそうした項目を適切に検索できれば、旅の選択肢が増えていきます。
| 全国バリアフリー旅行情報サイトにおける宿泊施設の基本情報 | |||
|---|---|---|---|
| 車いす対応トイレ付き客室 | ○部屋 | 洋(和洋)客室 | あり/なし |
| 車いす対応トイレ | ○箇所 | 障害者駐車場 | あり/なし |
| 館内エレベーター | あり/なし | 貸切り風呂 | あり/なし |
| シャワーチェア貸出 | あり/なし | 車いす貸出 | あり/なし |
| 特別食対応 | あり/なし | 部屋食 | あり/なし |
こうした問題点を克服していくためには、まず高齢者が旅行をするときに利用するであろう新聞の旅行チラシなどから、バリアフリーに特化した施設の広告を増やしていくなどの施策も考えられます。
高齢者の場合、子供や孫がインターネットでバリアフリー施設の旅行先を探すケースもあり、歩くのが困難な人やお風呂だけ手伝ってほしいという人、手すりがあれば大丈夫な人などのより多用なケースに対応できるでしょう。
まだまだ限定的な設備の充実が待たれる…
高齢者になると時間的な余裕がでてきます。毎日何気なく日常を過ごしていれば、退屈するときがあるかもしれません。そんなとき、ゆとりをもった旅は認知症の防止や脳細胞の活性化にもいい影響を与える可能性があります。
一方、全国旅行ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)も、お年寄りが利用しやすいホテルなどを、サービスや料理の面において認定する「シルバースター登録制度」を設けていますが、まだまだ限定的。
認定施設であれど、必ずしも車椅子利用者が宿泊しやすいとは限らないのが現状です。
徐々に民間を中心としてバリアフリーに対応した施設や検索サービスは増えているものの、お年寄りにはまだまだ旅行が大変なものであることは変わりないでしょう。
同伴者も込みで1兆円以上の市場規模はとても魅力的です。日本の金融資産は高齢者に偏っているといわれており、そのほとんどが使われないまま相続税などに消えてゆきます。
内需の減少が確定している日本において、高齢者に楽しく旅行をしてもらい、なおかつ経済を活性・発展できるのであれば積極的に取り組む重要な課題といえるのではないでしょうか。
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2020年9月7日 制定