介護職にはネガティブなイメージがつきまとう
介護職のイメージを刷新したい厚労省
介護職の人手不足による問題は深刻です。なぜ介護職は人手不足なのかを考えた時、その理由の一つとして「給与が低いからでは?」と思いつく方は多いかもしれません。

ところが、公益財団法人 介護労働安定センターの調査によると、介護職を退職した理由として最も多いのは「人間関係」なのです。
2番目に「結婚・出産、育児」、3番目は「施設の方針に不満」となりました。
賃金の低さを理由として退職した人は6番目となっており、必ずしも給与の安さが介護職に就かない理由ではないようです。
しかし、介護職の人手が不足していることに変わりはありません。
そこで、介護職員を増やすために厚生労働省は、体験型イベントの開催やSNSによる介護の魅力を発信することで、介護職へのイメージアップに努めることを明らかとしました。
ノウハウを持った代理店と組んで、Webを中心としたマーケティングを駆使して広報をしていくことになります。
介護職員なくして社会問題の解決は不可能?
先ほども触れましたが、現在介護職員は不足しています。上記で触れた理由に加えて、きつい仕事だというイメージが広く社会に浸透しており、成り手が減少しているのです。
職員が足りないということは、スタッフに通常よりも負荷がかかってしまいます。それによって、介護の質の低下や、職員の離職を招く、といったことになりかねません。
現に、介護職員のうち約73%が、勤続3年未満で退職しているという厚生労働省のデータもあり、せっかく希望を抱いて介護職に就いたのに、失望して早期のうちに辞めてしまう人が少なくないことがわかります。
このままでは、今社会問題となっている「介護離職」や必ず訪れる「2025年問題」を対策することができません。介護職の人材不足を他人事と思わず、真剣に介護職の人材不足について考えていかなければなりません。
一般人が介護職に抱くイメージ
介護職は誇りある職業だと思われている
先ほど、「介護のイメージアップを図る」とありましたが、一般人は介護職に対してどのようなイメージをもっているでしょうか?ポジティブイメージとネガティブイメージに分けてみていきたいと思います。

まず2015年の時点でリクルートが「介護職のポジティブイメージ」を調査したところによると、「社会的な意義の大きい仕事」であるというのが38.8%。
そして「成長していく業界」というものが30.9%、さらに「資格や専門性を活かして活躍できる」が29.8%なりました。
(複数回答可)
仕事というものは、それが社会に大きな影響を与えるものであればあるほど、公益性を帯びてくるといわれています。
介護サービス業は、社会性が強く公共性の高い仕事なので、一般人から見て介護サービス業に携わっている人は誇り高い、という職業イメージがあるようです。
介護職のネガティブイメージは的を得ている?

しかし、こうしたプラスの側面に対して、介護職を労働面からネガティブに思っている人もいました。
同様の調査によると、ネガティブイメージとして一番多かったのが「体力的にきつい」で61.0%、次に「精神的にきつい」で53.8%、3番目に「給与水準が低い」で48.0%となっています。
(複数回答可)
確かに、体が衰えた高齢者を肉体的にサポートする仕事のため、肉体的にも精神的にも非常に消耗するという側面は確かにあるでしょう。
お風呂の介助では体を支えるのがとても大変かつ気も使いますし、排泄物の処理と聞くと、精神的にも抵抗がある人も少なくありません。
介護職のポジティブイメージとネガティブイメージ、それに加えて介護職員が不足している現状を顧(かえり)みると、「一般人にとって介護職はマイナスイメージが先行している」という見方もできます。
では、この問題を解決するために私達は何ができるのでしょうか。国策を見ていきながら考えていきましょう。
介護職のイメージアップに向けた国策とは
勤続10年の介護福祉士に対する月8万円の処遇改善が発表された
果たして、国は介護職のイメージを上げるために何をしているのでしょうか。
まず、勤続10年の介護福祉士には、月8万円の処遇改善加算を行うことが閣議決定しました。
このコンテンツ内でも何度かお伝えしたところ、このニュースは世間を驚かせ、大きな反響となりました。

介護職は賃金が低いと言われていますが、職員はどう思っているのでしょうか?介護労働安定センターが「介護職に対する労働条件の不満点」について調査したところ、「仕事内容のわりに賃金が少ない」と答えた人が41.5%もいる状況であることが明らかとなったのです。
先ほどの「介護職を退職した理由」の調査で、賃金の低下は動機としてはあまり多いものではありませんでしたが、仕事内容と賃金が釣り合っていると思う介護職員は少ないということなのでしょう。
たとえやりがいがあったとしても、報酬が低く抑えられていることによってモチベーションの低下や人間関係の悪化を招いてしまいます。
そういった意味でこの政策は、介護福祉士の待遇を上げる大きな政策であるという意見がある一方で、勤続10年が条件なので限られた介護福祉士にしか加算がされず意味がないという意見もあり、介護職の「賃金が低い」というイメージを脱却できるかは疑問の声が上がっています。
14億円もの予算が修学資金貸付制度へ充てられる
また、政府は今年度の補正予算・追加歳出を合計2兆8,964億円とすることを決定づけ、介護に関しては14億円が「修学試験貸付制度」に充てられることとなりました。
介護福祉士の養成学校へ通う学生に対して資金が援助される「修学資金貸付制度」ですが、介護福祉士・社会福祉士養成施設に通学している間は5万円、入学時と卒業時に20万円を借りることができ、この制度で借りたお金は国家資格を取得して介護職を5年間勤めれば返済は必要ありません。
介護福祉士の養成校に外国人留学生が増えていることを鑑みて、財源がなくならないことを目的としたこの制度。国家試験の受験対策費としても1年に4万円貸してくれるので、介護福祉士を目指す人にとってはありがたい制度です。
今回は厚生労働省による介護職のイメージ刷新についてみていきました。超高齢社会で現在、介護人材は大きく不足しています。それを解消するには、今回のイメージの向上と同時に賃金の改革も進めていかなければならないでしょう。高齢化のピークを目前にし、今できることは何かを考えていくことが大切です。
みんなのコメント
ニックネームをご登録いただければニックネームの表示になります。
投稿を行った場合、
ガイドラインに同意したものとみなします。
みんなのコメント 78件
投稿ガイドライン
コミュニティおよびコメント欄は、コミュニティや記事を介してユーザーが自分の意見を述べたり、ユーザー同士で議論することで、見識を深めることを目的としています。トピックスやコメントは誰でも自由に投稿・閲覧することができますが、ルールや目的に沿わない投稿については削除される場合もあります。利用目的をよく理解し、ルールを守ってご活用ください。
書き込まれたコメントは当社の判断により、違法行為につながる投稿や公序良俗に反する投稿、差別や人権侵害などを助長する投稿については即座に排除されたり、表示を保留されたりすることがあります。また、いわゆる「荒らし」に相当すると判断された投稿についても削除される場合があります。なお、コメントシステムの仕様や機能は、ユーザーに事前に通知することなく、裁量により変更されたり、中断または停止されることがあります。なお、削除理由については当社は開示する義務を一切負いません。
ユーザーが投稿したコメントに関する著作権は、投稿を行ったユーザーに帰属します。なお、コメントが投稿されたことをもって、ユーザーは当社に対して、投稿したコメントを当社が日本の国内外で無償かつ非独占的に利用する権利を期限の定めなく許諾(第三者へ許諾する権利を含みます)することに同意されたものとします。また、ユーザーは、当社および当社の指定する第三者に対し、投稿したコメントについて著作者人格権を行使しないことに同意されたものとします。
当社が必要と判断した場合には、ユーザーの承諾なしに本ガイドラインを変更することができるものとします。
以下のメールアドレスにお問い合わせください。
info@minnanokaigo.com
当社はユーザー間もしくはユーザーと第三者間とのトラブル、およびその他の損害について一切の責任を負いません。
2020年9月7日 制定