社会福祉士試験の結果が明らかに
今年度、1万3,288人の社会福祉士が誕生

3月15日、厚労省は第30回社会福祉士国家試験(2017年度実施)の合否結果を公式サイトにて公表しました。
受験者数は4万3,937人で、そのうち合格者は1万3,288人。
合格率は2016年度よりも4.4ポイント高い30.2%となりました。
これは2002年度(第15回)の31.4%、2007年度(第20回)の30.6%に次ぐ過去3位となる高い水準で、合格率が30%を突破したのは、実に10年ぶりのことです。
合格者の内訳をみていくと、まず性別では男性が4,647人、女性が8,641人となり、女性が全体の65%を占めています。
年齢別では、30歳以下が6,326人(47.6%)と最も多く、以下、31~40歳が2,529人(19.0%)、41~50歳が2,615人(19.7%)、51~60歳1,418人(11.1%)、61歳以上が400人(3.0%)です。
20代の若い合格者が多い中で、61歳以上の高齢者世代に差し掛かろうという人が400人も合格しているのは注目に値しますね。
また、受験資格別では「福祉系大学等卒業者」が7,618人(57.3%)、「養成施設卒業者」が5,670人(43.3%)で、4年制の大学を経て合格した人が半数を超えているという状況です。
社会福祉士の年間受験数と年齢別合格者数
社会福祉士国家試験が初めて行われたのは1988年のことで、当時の受験者数は1,033人、合格者は180人に過ぎませんでした。
しかしその後、受験者数、合格者数ともに数を伸ばし、介護保険制度がスタートした2000年度(第13回)の試験では受験者数は2万2,962人、合格者数は6,074にまで増加。
2000年代に入ってからも、急速に進む高齢化と共に社会福祉士試験への注目度は高まり続け、受験者数は2002年度(第15回)の試験で3万人を突破し、2004年度(第17回)の試験で4万人。
合格者数も毎年1万人以上となりました。
ただ2000年代半ば以降は、受験者数が4万2,000人~4万5,000人前後、合格者数は1万2,000人~1万3,000人前後で推移し、10年以上に渡って横ばいの状況が続いています。
福祉的課題が増加しつつある現在、社会福祉士としての質を下げずに合格者数を増やしていくことは、人材確保を目指す上での大きな課題です。
社会福祉士の仕事内容
社会福祉士の1日はどんなもの?
社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれ、身体面・精神面・経済面において問題を抱えている人(身体・知的障がい者、高齢者、貧困者、母子家庭、虐待の恐れのある子ども・非行や不良行為に関わる子どもなど)及びその家族の相談を受け、日常生活を問題なく過ごせるように支援を行うことが、主な仕事内容になります。
勤務場所としては行政機関や医療機関、社会福祉協議会に独立型の社会福祉事務所などが代表例ですが、各種住民団体・住民組織のコミュニティワーカー・コーディネーターとして働いているケースも多いです。
相談者に対して親身になって対応する必要があるほか、行政機関、医療機関など福祉に関わる各施設との連絡役・調整役ともなるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。

高齢者福祉の分野では、特養、老健、通所介護事業所、地域包括支援センターなどにおいて、施設を利用する高齢者とその家族をサポートすることが、社会福祉士の仕事です。
その一例として地域包括支援センターで1日のスケジュールを挙げると、高齢者宅を直接訪問して身体状況の確認や相談を受ける、電話相談への対応、関係諸機関との連絡会議、各種業者への対応など、業務内容が実に多岐に渡っていることが見てとれます。
社会福祉士になるための受験資格は
社会福祉士になるには社会福祉国家試験に合格する必要がありますが、そのためにはまず受験資格を得ねばなりません。受験資格を得るには、養成施設を経ない方法と養成施設を経る方法とがあります
養成施設を経ないで受験資格を得るには、
- 福祉系大学等(4年制)で指定科目の履修
- 福祉系短大等(3年制)で指定科目の履修+1年間の実務経験
- 福祉系短大等(2年制)で指定科目の履修+2年間の実務経験
のいずれかを満たさないといけません。
養成施設を経る場合は、「短期養成施設等」(6ヵ月以上)または「一般養成施設等」(1年以上)のどちらかで、受験資格を得るための学習を行う必要があります。
また、短期養成施設等を経て受験資格を得るには、以下の条件をクリアしなければなりません。
- 児童福祉司・身体障害者福祉司査察指導員・知的障害者福祉司・老人福祉指導主事のいずれかの実務経験4年以上
- 福祉系大学等(4年)で基礎科目の履修
- 福祉系短大等(3年)で基礎科目の履修+1年間の実務経験
- 福祉系短大等(2年)で基礎科目の履修+2年間の実務経験
- 社会福祉主事養成機関での学習+2年間の実務経験
そして、一般養成施設を経て受験資格を得るには、以下の条件を満たすことが求められます。
- 一般の大学等(4年制)。
- 一般の短大等(3年制)+1年間の実務経験
- 一般の短大等(2年制)+2年間の実務経験
- 4年間の実務経験
複数の受験資格取得ルートがあるので、受験希望者は自分にとってどの方法が最も合理的なのか、しっかりと見極める必要があるでしょう。
社会福祉士になった後が本当の試練
精神疾患の割合が多い

近年、社会福祉士がうつ病といった精神的に問題を抱えるというケースが増えています。
厚労省によれば、社会福祉士も属する「社会福祉、社会保険、介護事業」における精神疾患による労災請求件数は、2010年度時点では85件でしたが、2014年度には140件まで増加。
介護サービス職業従事者の精神障害による請求件数も増えつつあるのが現状です。
援助を必要としている人の中には、助けて欲しいと強く願っている人がたくさんいます。
そこへ「助けてあげたい」という思いを強く持つ社会福祉士が接すると、援助対象者が抱える問題に過剰なまでに関与してしまい、心身の限界を超えるほどエネルギーを注いでしまう・・・という事態も起こってくるようです。
その結果生じる「燃え尽き症候群」は、社会福祉士が直面する代表的な精神疾患の1つとなっています。
また施設・事業所で勤務している社会福祉士に多いのが、上司・同僚との人間関係におけるストレス。
こうしたことはどこの職場でも起こり得ることですが、社会福祉士は悩みやトラウマを抱える援助対象者と日々接していることから、その影響により悲観的な考え方をしやすく、悩みを抱えやすい傾向にあるとも言われています。
理想と現実のギャップについていけず辞める人も
「介護労働実態調査」(2013年)によれば、介護職に就いている人が退職した理由として最も多かったのが「職場の人間関係に問題があったため」(回答全体の26.6%。
複数回答)。
職場における上司からのパワハラ、他の職員からの陰湿な嫌がらせ・いじめを受けたというケースは非常に多く、また援助対象者である利用者とのトラブルも少なくないようです。
そして、同調査で2番目に多かったのが、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」で、回答全体の22.7%を占めています。
就職するにあたって、事業所の理念、運営方法について一通り説明を受けてはいるものの、実際に働き始めてから「こんなはずではなかった」と不満を感じるようになるわけです。
社会福祉士として希望を抱いて介護現場で働いている人が多い中、こうした「現実」の問題に直面し、退職してしまう人が多いのも実情であると言えます。
今回は2017年度における社会福祉士の受験者数、合格率について取り上げ、社会福祉士の資格取得の方法、仕事内容について考察しました。
社会福祉士はやりがいのある仕事である反面、心身に大きな負担を掛ける仕事でもあります。
より働きやすい労働環境を整備していくことが、今後受験者数、合格者数を増やすための大きなポイントになりそうです。
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2020年9月7日 制定