厚生労働省、介護職員の処遇に関する調査結果を公表
ケアマネージャーの給与、一昨年と比べて8,320円上昇
| 2016年9月 | 2017年9月 | 差額 | |
|---|---|---|---|
| 加算Ⅰ~Ⅴの施設 | 33万7,500円 | 34万5,820円 | 8,320円 |
| 加算Ⅰの施設 | 33万9,400円 | 34万8,760円 | 9,360円 |
| 加算Ⅰ~Ⅴの施設・ 事務所の介護職員 |
28万1,250円 | 29万3,450円 | 1万2,200円 |
この4月に厚労省が公表した介護職員の処遇に関する調査によると、月給・常勤で働くケアマネージャーの昨年9月の給与は、平均すると34万5,820円という結果となりました。
これは、一昨年の9月調査で出た33万7,500円という数字と比べて、8,320円上昇という結果です。
ちなみに、この統計でいう給与とは、基本給に手当とボーナスを加えたもの。
いわゆる手取りではなく額面で、手当には時間外手当も含んでいます。
ボーナスなどが出ている事業所については、4月から9月に支給された総額の6分の1を足して計算が行われました。
対象は「特養」「老健」「介護療養病床」「グループホームでケアマネージャーの仕事に就いている」人で、3,324施設から有効な回答を得たとのこと。
さらに詳しく数字をみていくと、月給は、常勤の介護職員は昨年9月で29万3,450円。
ケアマネージャーの方が5万2,370円多くなっています。
ケアマネージャーの昨年9月の基本給は平均で21万6,260円。
一昨年の9月(21万3,300円)から2,960円上がっていました。
処遇改善加算で最も高い「加算I」を取っている施設に限ってみると、昨年9月のケアマネージャーの給与は平均で9,360円増の34万8,760円となり、より高い数字が現れています。
介護職種の中では3番目に高い給与額
厚生労働省の発表した2016年度の介護従事者処遇状況等調査結果に記された、介護現場において働く人の給与を職種別に高い順にみていくと、ダントツで看護職員が一位となっており37万1,100円。
これに理学療法士や作業療法士、言語聴覚士または機能訓練指導員が34万3,890円となって続いています。
ケアマネージャーはそれらに続いており、平均給与が34万2,440円となっています。さらに、どの介護職員処遇改善加算を取得(あるいは届出)したかによって若干の違いこそあるものの、ケアマネージャーの平均給与自体が前年よりも増加しているのです。
これらのことから、介護従事者全体の給与が底上げされている中で、ケアマネージャーが、介護従事者の中では三番目に高い給与を得ているということわかります。
介護職員の平均給与は2016年9月の調査において28万9,780円となっていますから、ケアマネージャーの同年9月の給与が前述のように平均で34万2,440円ということを考えあわせると、介護職員よりもケアマネージャーの方が5万2,660円毎月給与を多く貰っていることが明らかとなりました。
処遇改善加算による影響を解説
介護従事者への加算による状況は
さらに厚労省の資料で、その前年度の、職種別にみた介護従事者等の平均基本給額の状況(介護職員処遇改善加算(Ⅰ)を取得(届出)した事業所)介護職員処遇改善加算(Ⅰ)を取得(届出)した事業所における介護職員(常勤の者)について、2014年と2015年との数字を比べると、2014年9月で17万4,420円だったのに対し、2015年9月には 17万7,370円となっており、平均基本給額で2950円の増ということがいえます。
このことは介護従事者の中でいちばん給与が高い看護職員についてもいえ、2014年9月には23万3,820円だったのが、2015年9月には23万5,970円と2,150円増加していることになるのです。
また、生活相談員・支援相談員についても、2014年9月で20万6,380円だった平均基本給額が、2015年9月には21万420円となっており、4,040円増加しました。
これらのことから、介護従事者全体の給与は年を追う毎に右肩上がりになっているといえ、この数字だけみると、ケアマネージャーは介護従事者の中では比較的恵まれているかのように見えますが、一方で過酷な待遇であることをこれから述べねばなりません。
介護業界の全体の給与体系が低すぎる…
まず、大前提として介護業界自体における他業種に比べ著しく給与体系が低い業界体質をみていくことにしましょう。
財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査(2011年度)」の調査結果によると、介護従事者の平均賃金は管理職にあたるサービス提供責任者で22万4,791円。
施設内の介護職員で19万5,247円、訪問介護員で18万8,975円。
パート・アルバイトの時給は訪問介護員は1,235円、施設内の介護職員は898円となっています。
一方、労務行政研究所の調査によると、今年4月入社の大卒新入社員の初任給の平均は20万4,782円。今年4月にリクルートによって行われた「アルバイト・パート全国エリア別募集時平均時給調査」では、三大都市圏の平均時給は941円でした。
この統計が示すのは、長年働いても大卒初任給以下の給料に甘んじなければならない正社員や、最低賃金の時給で働いているパート・アルバイトが、介護業界においては当たり前ということです。

さらに、このところの介護事業所の倒産件数の多さも指摘しておかねばなりません。東京商工リサーチが発表した2017年度の「老人福祉・介護事業の倒産年度推移」の倒産件数は115件(前年度比7.4%増)。前年度(107件)を上回り、過去最悪となりました。
負債総額は147億4,100万円(前年度比38.7%増、前年度106億2,700万円)となっており、前年度より実に約4割増となっています。小規模事業者の倒産が大半ではあったものの、10億円以上の負債が4件(前年度3件)発生しているのです。
これは、全体的にはプラス改定とはなったものの、サービス種別に明暗が分かれた前回の報酬改定の影響が色濃く影を落としているといえます。
政府の政策が皮肉にも、もともと賃金的にブラックな介護事業に、介護業界=不安定というイメージを上塗りしてしまったことは否定できません。
いずれにせよ、介護の世界はいまだ、安心して働けない業界というイメージのままなのです。
ケアマネージャーはオーバーワークを強いられる
ケアマネージャーの残業事情は平均3時間以上

私たち「みんなの介護」が行ったアンケートでは、1ヵ月あたりの給料が24万円未満のケアマネージャーが36.4%という実態も浮き彫りになっています。
「月末・月初の1日の残業時間は平均で何時間くらいですか?」というアンケートに3時間以上と答えた人が65.1%いました。
ケアマネージャーには、単純なケアプランの作成だけでなく、認知症や老老介護、虐待、経済的事情など個人や制度では解決出来ないような問題への対処を余儀なくされる場面も少なくありません。
本来なら利用者目線で問題をじっくり解決する必要があるにも関わらず、一人のケアマネージャーがオーバーヒートしてもおかしくない件数を抱えざるを得ない状況があるのです。
例えば、2012年に三菱総合研究所が発表した「居宅介護支援事業所における介護支援専門員の業務及び人材育成の実態に関する調査」をみると、ひとつの介護事業所が抱える利用者数が平均して72.2人に対し、1事業所にいるケアマネージャーの数は平均して常勤職員が2.8人、非常勤職員が0.2人となっています。
これは、ひとつの事業所に所属するケアマネージャーが抱える担当利用者の数が平均して約24~25人にも上るということです。もちろん、これより多くの利用者を抱えるケアマネージャーも多数いると考えられます。
ケアマネージャーの離職率が高い理由
介護業界における離職は、全産業と比較した場合、高いと言われています。介護労働安定センター実施の2010年度調査では、訪問介護員を含めた介護職の1年間の離職率は17.8%となりました。
一方、ケアマネージャーの離職率はどうなのかといえば、「主とする介護サービスの種類別の離職率」において、19.7%という数字が上がっています。
さらに「介護事業開始後の経過年数」別でみると、「2年未満」という事業所においては、離職率が3割を超えていますが、事業開始後の経過年数が少ないほど離職率が高いということがいえるのではないでしょうか。
福祉ジャーナリストの田中元氏はインターネット上のコラムで、(介護業界全体の)離職者のうちの77.6%が入職3年以内に辞めている点を挙げ、「事業開始後の経過年数が少ないほど離職率が高いというのは、その職場として人を評価する物差しを築くまでにそれ相応の時間を要するのではないか」ということを指摘しています。
ケアマネージャーという仕事は、資格そのものからして5年の更新制であり、相当な出費を要す上、勉強の時間作りにも苦労せねばならないのも、多くの人が挫折していく一因でしょう。
さらに介護兼務のケアマネージャーの場合は、介護のシフトにも入れられるため、その心労は大変なもの。
こうした業態は一刻も早く改善されるべきですが、今回みてきた数字を見る限り、見通しはけっして明るくありません。
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2020年9月7日 制定