日本人の喫煙率は減少の方向へ
年配者が喫煙率の多くを占める結果に
今年7月、JT(日本たばこ産業株式会社)が「2018年全国たばこ喫煙者率調査」の結果を発表し、2018年5月時点で全国の喫煙率は前年比0.3ポイント減(約37万人減少)の17.9%であることを公表しました。
ここ10年の推移をみると喫煙人口は年々減少しており、2009年時点では推定約2,601万人(喫煙率24.9%)でしたが、2018年では約1,880万人となっています。
喫煙者の内訳を性別で見ると、男性の場合、2018年時点での平均喫煙率は27.8%となり、1966年(昭和41年)の83.7%から、約50年間のうちに56ポイントも減少しました。
年代別で最も喫煙率が高いのは「40歳代」の35.5%、2番目に多いのが「30歳代」の33.1%、3番目に多いのが「50歳代」の33.0%です。
「60歳以上」の高齢者世代でも21.3%を占めていました。
一方、女性の場合、喫煙率は8.7%。喫煙率が最も高い年代は「40歳代」の13.6%、「60歳以上」の世代でも5.4%が喫煙をしているという結果になりました。
喫煙者は交通事故による死亡が約1.5倍高い
国立がん研究センターが、1990年から2001年にかけて約9万人を対象に大規模な調査を行いました。その結果、喫煙者のがん発生率が、吸わない人に比べて男性で約1.6倍、女性で約1.5倍になることが明らかにされました。
また、男性のがん全体の29%、女性のがん全体の3%はたばこが原因であることもわかり、もしたばこを吸わなければ、日本人全体で毎年約9万人ががんを発症せずに済むとの試算も出されています。
さらに、今年東北大学が公表した研究結果では、1日にたばこを20本以上喫煙した人は、非喫煙者よりも交通死亡事故の危険性が1.54倍も高いことが明らかにされました。
調査は茨城県内の38市町村に住む約9万7,000人(40~79歳)を対象に、1993年から20年間に渡って行われたとのことです。
理由としては、運転中に喫煙をすることで、運転操作に集中できなくなり事故を起こしてしまうというもの。
日本では運転中に携帯電話を使用することは規制されていますが、喫煙については法で定められていません。
今回の研究は、喫煙が交通事故死の危険性を高めることを明らかとし、たばこ対策を支持する形となりました。

喫煙と外因死(転倒、窒息、不慮の事故、窒息、他殺、自殺など)の関係についての研究はこれまでもありましたが、交通事故との関係を示す研究は今回の東北大学の調査が初めてだと言われています。
たばこが原因で発症するCOPDとは
COPDの患者は高齢者に多い
喫煙はさまざまな病気を引き起こす恐れがありますが、中でも発症リスクが高まると言われているのがCOPDです。
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、慢性気管支炎や肺気腫とも呼ばれる病気の総称のことで、原因のほとんどが長年の喫煙習慣にあると考えられています。
COPDはゆっくりと進行し、一度低下した肺機能は治療によって元に戻ることはありません。ある日突然に呼吸困難になる、という形で自覚症状が現れ、症状が明確に現れたときは、既にかなり進行・悪化していることがほとんどです。
症状が出始めると息苦しさのあまり仕事に支障が出て、経済的に困窮するというケースも珍しくありません。苦しさのために食欲がなくなることで病気への免疫力や体力が低下し、肺炎や肺がん、肺線維症などの合併症も起こりやすくなります。
また、COPDは全身疾患でもあり、発症後は骨粗しょう症や筋肉量の低下によるサルコペニア、心臓病、糖尿病などのリスクも上昇。治療せず、喫煙もやめなければどんどん進行し、やがて命に関わる事態に直面することは避けられないと言えます。

しかし、病気に対する認知度が低いこともあり、COPDと気づかずに放置してしまう人は増えています。
その結果、高齢になるまで症状に気づかず、判明したときには重度の症状になっていることもありがちです。
COPDの患者は高齢者に多いですが、その理由のひとつには、高齢となって症状が悪化したことで、初めて罹患したことに気づいた人もいるからでしょう
非喫煙者でも受動喫煙で発症する恐れが
恐ろしい病気であるCOPDですが、たとえ禁煙しても、たばこによる影響はその後も残り続けるので、「もう吸っていないから安心」ということはありません。
喫煙経験のない人でも、「受動喫煙」によって発症する恐れがあります。
職場や家族に喫煙者がいるなら、COPD発症の可能性は十分にあるのです。
以前行われた大規模な疫学調査によれば、40歳以上の日本人のCOPD有病率は8.6%で、推定患者数は560万人に上っており、2017年におけるCOPDの死亡者数は1万8,500人を超えました。

また、日本人男性の死因別順位でも、COPDは第8位とトップ10位内に入っています。
日本人喫煙者の5人~6人に1人がCOPDにかかっているとも言われていて、年配者に喫煙者が多いことを考えると、高齢化が進む中、今後さらにCOPD患者が増えていくと予想されます。
40歳以上で喫煙歴のある人は、呼吸器科を受診して肺年齢をチェックしましょう。実際の年齢よりも10歳以上も肺年齢が高いと、COPD発症のリスクが高いと言われています。
死因8位にもかかわらず認知されていない理由
罹患していることに気づきにくいCOPD
とはいえ、COPDを発症していても、病院での診断や治療を受けない人が多いのが現状です。
先述した通り、40歳以上の日本人におけるCOPD有病率は8.6%で、推定患者数は530万人。
ところが、実際に病院で治療を受けている患者数は約26万人に過ぎず、患者全体の20分の1程度にしか過ぎないのです。
現に、一般社団法人「GOLD日本委員会」が2017 年に行ったアンケート調査では、「COPDがどんな病気かよく知っている」と答えた人の割合はわずか9.6%にとどまっていました。

認知度が低い背景としては、COPDは慢性的な疾患なので、症状が長く続くと患者本人がその状態に慣れてしまい、「病気」であることに気づきにくい、という点がまず挙げられるでしょう。
また、各市町村で実施されている健康診断では肺機能の検査が組み込まれていないため、呼吸器の状態をチェックする機会そのものが少ないことも影響していると考えられます。
喫煙習慣のある人(あった人)は、自分の呼吸機能が正常なのか、自ら確認する意識を持つことが必要です。
喫煙習慣があった人は検査を
COPDを治療していく上で根幹となるのは、「禁煙」「薬物療法」「呼吸リハビリテーション」の3つです。
禁煙はその名の通りで、COPDの発生原因となりやすい喫煙を止めることを指し、薬物療法は「気管支拡張薬」の服用が中心となり、気管支を広げることで空気の通りを良くし、症状の改善を図ります。
そして、呼吸リハビリテーションは「肺周辺の筋肉をよく動かすこと」となります。
運動によって肺を使うことで健康状態を保つのです。
意欲的に健康的な身体を維持する人は、たとえCOPDを発症しても生存期間が延伸し、病気を克服できることもあるとのこと。
こうした実績から、近年では体を動かすことが重要な治療のひとつとして位置づけられるようになりました。
先述した通り、COPDは喫煙者がかかりやすい病気です。高齢の方で過去に喫煙経験のある方なら、今は吸っていなくても一度検査に行くことをおすすめします。
今回はCOPDについて考えてきました。
COPDは現在の喫煙者のみならず、元喫煙者にとっても身近な病気となりつつあります。
喫煙者の多い年配者が高齢者になる頃には、ますますCOPD患者が増えていくかもしれません。
COPDの当面の課題は、認知度を上げることにあるでしょう。
知らないうちにCOPDの病状が進んでいかないように対策が必要となりそうです。
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2020年9月7日 制定