平均給料は33万660円
勤続10年以上の介護福祉士を下回る
三菱総合研究所は、厚生労働省の委託を受けてケアマネージャーの処遇についてまとめた調査結果を公表しました。
調査によれば、フルタイムで働くケアマネージャーの平均給料は2020年2月時点で33万660円。
前年同月の調査結果である32万5,230円と比べると、5,430円アップとやや上昇傾向が見られます。
なお、集計対象のケアマネージャーの勤続年数は平均8.8年です。
ここでの平均給料とは、基本給に各種手当やボーナスなどを加えたもの。手取り金額ではなく、税金や保険料などが引かれる前の金額です。
ケアマネージャーの中でも、フルタイムの主任ケアマネージャーの平均給料は35万1,480円です。
前年同月と比較すると、520円の微増傾向が見られます。
しかし、勤続10年以上の介護福祉士の平均給料は36万6,900円のため、ケアマネージャーの平均給料が特段高いというわけではありません。
介護業界で最も平均給料が高いのは、看護職員で38万3,560円です。その後に、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、または機能訓練指導員が続きます。

介護業界全体の給料水準が低い
2019年4月、厚生労働省は介護職員の平均給料が初めて月額で30万円を越えたとの調査を明らかにしています。
介護職員の平均給料に関しては、2019年10月に新設された「介護職員処遇改善加算」を取得する事業所が増えた影響で上昇した経緯があります。
介護職員処遇改善加算とは、勤続10年以上の介護福祉士に対して、月8万円相当の処遇改善を実施するという方針に基づいてつくられた制度です。
しかし、そもそも介護業界全体の給料水準は低いと言えます。フルタイムで働くケアマネージャーの平均給料は33万660円ですが、コンサルティング会社やIT会社などそのほかの業界における大卒初任給はそれより高いこともあります。
長く勤めているのにほかの業界の大卒初任給より低いとなればモチベーションの維持が難しいでしょう。そのほか、介護現場には最低賃金の時給で働いているパートやアルバイトが多くいます。
さらに、無償残業を強いられている方もいるのが現状です。全労連介護・ヘルパーネットが行った『介護施設で働く労働者のアンケート調査』によると、6割以上の介護職員が「無償残業があった」と回答しています。
無償残業で行っている仕事内容は、記録作業や準備、片付けなどです。事務処理作業をこなすために無償残業を強いられている方も少なくないわけです。
ケアマネは徐々に担い手不足に
ケアマネ志願者数が受験資格の厳格化により減少
介護業界の待遇面について課題が残る中、業界における人気職種のひとつであったケアマネージャーの志願者数について近年減少傾向にあることも問題になっています。この原因の一つに、受験資格の厳格化があります。
受験資格の厳格化は、ケアマネージャーの質の向上を狙ったものです。また常々課題として挙がっていた合格率の低さも影響しています。
2017年まではヘルパー2級や初任者研修を受けた方でも、現場での実務経験を5年以上積むことでケアマネージャーの受験資格を得ることができました。
しかし、社会福祉士や介護福祉士の資格を取得してから5年以上の実務経験を必要とする形に厳格化が行われたのです。
その結果、2017年のケアマネ試験の受験者数は13万1,432人でしたが、2018年は4万9,312人と6割以上も減少しました。そして、その翌年以降も受験者数の回復は見られません。

待遇改善でケアマネ担い手不足解消を図る
ケアマネージャー志願者の減少理由は、受験資格の厳格化だけではありません。現役ケアマネージャーの中には、給料をはじめとした待遇の問題を感じている方が多くいます。
現場で働く介護職の処遇改善がたびたび行われたのに対し、ケアマネージャーの待遇改善には手つかずであったことから、その平均給料の差がかなり埋まってきているのが現状です。
ケアマネージャーに関しては、業務量と給料が見合っていないという声も少なくありません。「みんなの介護」が月初・月末の平均残業時間についてケアマネージャーに独自アンケートを行ったところ、65.1%の人が平均の残業時間が3時間以上であると回答しました。
悪質な事業所ですと、表向きは「退社」としておきながら、実際は帰宅しておらず残業を強要しているところもあります。
公的な書類では残業していないことになるため、後で残業代を請求しても、十分な金額が支払われない恐れも指摘されているのです。
こういった現状を早期に解決し、ケアマネージャーの待遇改善を図るべきです。
ケアマネ年収500万円以上は可能か
担い手不足によりケアマネの囲い込みが起こる可能性も
このままケアマネージャーの受験者および合格者が減少すると、今後はケアマネージャー不足が深刻化します。その一方で、要介護者や要支援者は今後も増加を続けます。
2020年10月、日本介護支援専門員協会は、ケアマネージャーの処遇改善の要望書を厚生労働省に提出し、基本報酬の引き上げを強く求めました。
要望書の中では、「居宅介護支援事業所が問題・困難としている内容」が記載されており、ケアマネージャーの処遇改善に関しては、55.2%の事業者が「問題・困難」としています。

その結果、懸念されるのがケアマネージャーの囲い込みです。
特定の事業所などでケアマネージャーの給料アップを図り、その給料をまかなうために同法人の併設サービスに利益誘導するなどの事態が起こる懸念があるのです。
もし、囲い込みが蔓延すれば、公正中立な介護サービスは崩壊し、ひいては介護業界全体の信頼性が失われてしまうでしょう。
日本介護支援専門員協会は処遇改善を目指す意向
こういったケアマネージャーを取り巻く環境を問題視して、日本介護支援専門員協会の柴口里則会長は、今後に向けてケアマネージャーのさらなる処遇改善を目指していく意向を改めて表明しています。
具体的には、ケアマネージャーの年収を500万円にするといった指針を出しています。
ケアマネージャーの処遇改善については、『令和3年度介護報酬改定』をめぐる議論でも焦点となっており、基本報酬の引き上げや逓減制の緩和、各種加算の新設・拡充などの措置がとられた経緯があります。
ただし、これでケアマネージャーの担い手不足が十分に解消できるかどうかは不透明です。ケアマネージャーに求められる役割や課される研修が多いことを考慮すると、追加的な施策の必要性を指摘する声も挙がっています。
給料水準のアップ以外にも、同時に労働環境の改善なども図っていくべきでしょう。少なくとも無償残業が常態化している職場でモチベーションを維持し続けるのは困難です。早期にケアマネージャーの待遇改善が求められます。
みんなのコメント
ニックネームをご登録いただければニックネームの表示になります。
投稿を行った場合、
ガイドラインに同意したものとみなします。
みんなのコメント 11件
投稿ガイドライン
コミュニティおよびコメント欄は、コミュニティや記事を介してユーザーが自分の意見を述べたり、ユーザー同士で議論することで、見識を深めることを目的としています。トピックスやコメントは誰でも自由に投稿・閲覧することができますが、ルールや目的に沿わない投稿については削除される場合もあります。利用目的をよく理解し、ルールを守ってご活用ください。
書き込まれたコメントは当社の判断により、違法行為につながる投稿や公序良俗に反する投稿、差別や人権侵害などを助長する投稿については即座に排除されたり、表示を保留されたりすることがあります。また、いわゆる「荒らし」に相当すると判断された投稿についても削除される場合があります。なお、コメントシステムの仕様や機能は、ユーザーに事前に通知することなく、裁量により変更されたり、中断または停止されることがあります。なお、削除理由については当社は開示する義務を一切負いません。
ユーザーが投稿したコメントに関する著作権は、投稿を行ったユーザーに帰属します。なお、コメントが投稿されたことをもって、ユーザーは当社に対して、投稿したコメントを当社が日本の国内外で無償かつ非独占的に利用する権利を期限の定めなく許諾(第三者へ許諾する権利を含みます)することに同意されたものとします。また、ユーザーは、当社および当社の指定する第三者に対し、投稿したコメントについて著作者人格権を行使しないことに同意されたものとします。
当社が必要と判断した場合には、ユーザーの承諾なしに本ガイドラインを変更することができるものとします。
以下のメールアドレスにお問い合わせください。
info@minnanokaigo.com
当社はユーザー間もしくはユーザーと第三者間とのトラブル、およびその他の損害について一切の責任を負いません。
2020年9月7日 制定