中止していた世代間交流が形式を変えて再開
高齢者と子どもたち、リモートでつながる
7月31日、大阪市で高齢者と地元の小学生から高校生が交流するイベントが開催されました。
このイベントは塗り絵で高齢者と全国の子どもを結ぶもので、地元や長崎県、鹿児島県などに住む約330人の子どもたちが描いた下絵に、介護老人福祉施設の高齢者が色をつけて塗り絵を完成させました。
オンライン交流会も実施され、高齢者と子どもたちは、参加した感想を伝え合いながら楽しいひとときを過ごしました。
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために接触機会を減らしつつ、世代間交流を促進する取り組みが全国で広がっています。
ICTなどを活用したコミュニケーションツールによって新たなつながりやかかわりを生み出すなど、新型コロナの収束後を見据えた地域共生社会の構築につながる活動も報告されています。
全国社会福祉協議会地域福祉推進委員会が発行している雑誌『NORMA』によると、非対面でも社会的なつながりや交流があると、うつを発症する可能性が低いことがわかっています。そのため、コロナ禍でもこうした活動を継続することが求められているのです。

多世代が交流しながら共に生きる町づくり
さらに、老人ホームやデイサービスなどの高齢者施設と、保育園や児童館、小学校など子どもが利用する施設を併設した「幼老複合施設」が増えています。
その背景には、限られた予算の中で、建設費や運営コストを抑えるという経済的理由のほか、高齢者や子ども、地域住民など幅広い世代との交流を促進する目的があります。
8月1日、静岡県に「地域・多世代交流型住宅」がオープンしています。これは、サービス付き高齢者向け住宅と一般向け賃貸住宅を併設した施設です。住宅内に学習塾や地域交流スペースがあり、多世代が日常生活の中で無理なく交流し、共存できる環境になっています。
地域交流スペースでは、健康教室や認知症予防プログラムの開催も。地域コーディネーターが常駐しているので、周辺の福祉施設や子育て支援施設、大学と連携した企画が実施されるなど、施設内にとどまらず、地域全体で多世代間のつながりが期待されています。
世代間交流がもたらす利点と課題
世代間交流の利点
以前の日本では、暮らしの中で自然と世代間交流が行なわれていました。しかし、少子高齢化や家族形態の変化によって、高齢者と子どもがかかわる機会が減少し、世代間交流は意識的に行なわなければならないものになりました。
世代間交流には、心身の健康の効果が期待できるのはもちろん、地域社会の統合や歴史的・文化的交流と継承、社会問題の解決など、さまざまな利点があります。
熊本保健科学大学の発表した論文『高齢者と子どもの世代間交流に関する文献検討』によると、世代間交流の利点とは、高齢者は子どもたちと触れ合うことで、元気や意欲、生きる活力がもらえるともされています。
そして社会的孤立の解消や能力、英知、経験の社会的活用なども利点として挙げられます。
車椅子に座ったままでも参加しやすい活動が多いので、負担が少なく行事後に体調を崩すなどの不安もありません。
一方、子どもたちは、高齢者から知識や経験を教わることができます。また、家族や学校だけに限定されていた人間関係が広がり、思いやりや感謝の心など人間性が育まれるのです。
第一生命経済研究所の資料によると、多くの高齢者が「子どもとの交流に関心がある理由」として、以下のような内容を挙げています。

世代間交流の課題
高齢者と子どもの両者にとって利点の多い世代間交流ですが、一方で課題や注意点もあります。特にコロナ禍での活動は、参加者全員の安全と衛生や感染対策を徹底しなければなりません。
身体的可動性に障がいがある高齢者は、できることに制限があります。また、活動内容によっては、高齢者が参加意義を感じにくくなってしまうので、工夫が必要です。
子どもは成長して免疫機能を獲得するまでの間、さまざまな感染症に罹患しやすいことにも注意しなければなりません。
現状12歳未満の子どもは、新型コロナワクチン接種の対象外なので、対面で交流する場合は、周囲の成人のワクチン接種が完了していることも必須です。
人との交流は健康維持に不可欠なもの
「同居家族との交流だけでは不十分」という研究結果も
外出や人との交流が減ると、体力の低下だけでなく気分の落ち込みにつながります。
さらに、認知機能の低下やうつ症状の進行、要介護のリスクが高まるなど、心身の健康に影響を与えます。
コロナ禍の2020年は、2019年と比べて高齢者の「外出機会」は約20%減少しました。
「認知機能低下やうつ」に関する項目の該当者が約5%増加傾向にあるということも、厚生労働省の発表で明らかになっています。
また、交流相手が同居家族だけでは不十分であることもわかっています。
同居家族以外の他者との交流が、毎日か頻繁にある人と比較し、月1回〜週1回未満では、要介護や認知症のリスクが1.3~1.4倍になります。
さらに月1回未満の人は、1.3倍早期死亡に至りやすいという研究結果もあるようです。
コロナ禍で、人と会うこと自体に抵抗がある人も少なくありません。しかし、交流を避けて社会的に孤立や閉じこもりになることは、予防できる感染リスク以上に健康上の損失が大きいと言えます。

世代間交流は援助者とのかかわり方が要
世代間交流は、単に回数を増やして日常的に行なうことが効果的とは限りません。いかに親密な関係を築けるかということが大切です。
この親密な関係を築くためには、保育者や介護者など援助者が重要な役割を担います。
例えば、交流の場を整えても、必ずしも自然と会話が生まれるような楽しい集いができるわけではありません。場合によっては食い違いが生じて、うまくコミュニケーションがとれないことも予想されます。
そのため、世代間交流を高齢者と子どもの二世代ではなく、その間の世代にあたる保育者や介護者などの援助者を加えた三世代で取り組むのも有効です。
その援助者が、両者の特徴や傾向をきちんと理解し、活動を支えていくことがうまくいくポイントです。
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2020年9月7日 制定