若い介護職員の奨学金返済に対して最大年6万円の支援を実施
明石市ではこれから介護職を目指そうという方や、すでに働き始めている若い介護職員の方をサポートするための取り組みを、兵庫県と連携しながらおこなっています。
そのひとつが「兵庫型奨学金返済支援制度」の利用です。
この制度は、中小企業の人材確保と、若年者の県内定着を目的としています。介護事業所を含め、要件を満たした中小企業が、従業員の奨学金返済を支援している場合、行政から一定の補助金を支給するというものです。
経済的な事情から、奨学金を利用する若者は少なくありません。そして、就業しても返済が終わらず将来に不安を抱えている方が多くいます。
また、人手不足に悩む企業にとっても、行政にとっても、従業員が定着できる環境づくりは急務です。
この制度では、奨学金の年間返済額や、企業から従業員への支援額に応じて、行政からの支援額が変わります。企業への補助上限額は6万円です。従業員本人への補助金も支給される場合があるので、ぜひ検討してみましょう。
また、明石市では介護職員が気持ち良く働ける環境づくりにも取り組んでいます。
そのためには職場の環境改善が大切なのですが、明石市では介護施設や介護事業所に対して、「介護職員処遇改善加算」の申請を促し、目に見える改善に取り組むように支援しています。
介護職員処遇改善加算というのはさまざまな要件をクリアし、介護職員が働きやすい環境づくりに取り組む介護事業者に対して、賃金改善のために支払われる交付金のことです。
クリアすべき要件には「職場環境等要件」と「キャリアパス要件」の2つあり、そのなかにも研修への参加や職務内容の見直し、経歴に応じた昇給システムの構築、処遇改善の取り組みなどさまざまな項目があります。
それらの項目に多く該当し、要件をたくさんクリアすればするほど交付される金額が上がっていきます。
すべての要件を満たせば、事業所は介護職員1人につき月額3万7,000円の加算を受け取れます。
この加算は介護職員の給料に反映させる必要があるため、介護職員にとっては大きなメリットになるでしょう。
このように明石市では国や兵庫県と連携しながら介護事業者や介護職員への支援をおこなっています。
このほか、介護福祉士や社会福祉士、介護福祉士実務者研修の資格取得の際に金銭的なサポートや、潜在介護士の復職に向けた支援などもおこなっています。
明石市は、これから介護職を目指す方にとっても働きやすいエリアだといえそうです。
2020年の高齢化率は26.22%!高齢者が増えるなか要支援・要介護者数も右肩上がり

出典:「統計ダッシュボード」(総務省)
「日本の地域別将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
明石市の総人口は2009年には29万3,299人でしたが、2010年には29万959人、2011年には29万856人、2012年には29万657人と3年連続で減少しました。
2013年には29万0,909人とわずかながら盛り返し、その後は2014年の29万1,357人から2020年の30万3,601人まで上昇傾向が続いているのです。
これは2010年から3年連続で転出超過であったのが、2013年を境に3年連続で転入超過となったことが原因として考えられます。
このように明石市の総人口は微増傾向にありますが、65歳以上の高齢者人口と高齢化率に関しては、ほかの地域同様に急上昇を続けています。
明石市の高齢者人口は2009年の段階では5万9,303人と6万人を割り込んでいました。
ただ、高齢化率はこの時点ですでに20.2%と高めの数字を記録しています。
この2年後の2011年には高齢者人口が6万1,842人、高齢化率が21.1%と、世界保健機関(WHO)が超高齢社会の基準として定めている高齢化率21.0%を上回る結果になっています。
その後も高齢者人口と高齢化率は上がり続け、2014年には高齢者人口が7万502人で高齢化率が23.8%、2017年には高齢者人口が7万6,460人で高齢化率が25.6%、2020年には高齢者人口が7万9,617人で高齢化率が26.22%と、4人に1人が高齢者という状況になりました。
しばらくこの傾向は変わらず、2030年には高齢者人口が7万9,461人で高齢化率が28.01%まで上昇すると見込まれています。
また、高齢者人口の増加に伴い、要支援・要介護認定者数も右肩上がりに推移しているのです。
2012年には1万2,186人でしたが、2015年には1万3,748人、2021年には1万5,235人とついに1万5,000人を超えてしまいました。
要支援・要介護認定者数は高齢者人口の増加に伴い、今後も増え続けると予想されています。
また明石市では高齢者人口の増加と同時に、高齢単身世帯も増えています。
高齢者のいる世帯は2018年から2020 年で1,430世帯の増加となっていますが、このうち高齢単身世帯が1,310世帯を占めています。高齢単身世帯は、2020年が18,784 世帯、一般世帯に占める割合は14.1%で、全国、兵庫県よりも高くなっています。
明石市では一人暮らしの高齢者の安否確認や緊急時の対応など、地域における見守り体制づくりをおこなっていますが、今後も増加傾向にあることは間違いありません。
そのため明石市では介護環境の整備を急ぎつつ、新たな介護人材の雇用も積極的におこなわれています。