6年ぶりに脳卒中治療ガイドラインが改定された
知っておくべき改定のポイント
脳卒中は、日本人にとって身近な病気です。そのため、かねてより治療のガイドラインが設けられて、改定と追補を繰り返してきました。そして今回、6年ぶりに「脳卒中治療ガイドライン」が改定されることとなりました。
中でも身近なものは、一次予防についての記述です。下記の3つのポイントについて変更が加えられました。
- 高血圧の管理基準
- 脳卒中の原因のひとつになるのが高血圧です。今回の改定では、その目標基準が「130/80mmHg未満」とより厳しくなりました。
- 糖尿病の管理
- 生活習慣が原因となる「2型糖尿病」の治療も、脳卒中の一次予防になるとされています。ただ、これまでのガイドラインでは「勧められるが、脳卒中予防効果に関する十分な科学的根拠がない」と記載されていました。しかし科学的な根拠が十分に揃ったために「行うよう勧められる」と格上げされました。
- 喫煙について
- 喫煙については、前回のガイドラインでも禁煙が勧められていました。加えて、今回の改定では電子タバコについても言及。電子タバコが、紙巻タバコに比べて、脳卒中の危険性を減らすかにはまだ十分な根拠がないとし、勧められる状況にはないことが明記されました。
「脳卒中治療ガイドライン」は、多くの医師が参照し、診療を受けた際に診断の基準にもなります。特に一次予防の記述については、一般の方にも関連するものです。
脳卒中は日本人の死因第4位
脳卒中は、一般に広く知られていますが、実は病名ではありません。正式には、「脳梗塞」や「くも膜下出血」などの脳血管障害の総称として用いられています。
脳卒中は、1960~1980年代までは日本人の死因第1位でした。しかし予防法や治療法が確立されるにつれて順位を下げて、現在は死因の第4位(7.7%)となっています。

脳卒中は一度発症すると、半身不随や認知症、寝たきりになるなど、さまざまな後遺症が残るリスクが高い病気です。要介護状態になるケースも少なくありません。そのため、何よりも「予防」の観点が大切なのです。
脳卒中を引き起こす原因と高齢者への影響
脳卒中は高齢者に多い
脳卒中は、加齢に伴って発症しやすい病気だとされています。20代の発症患者はほとんどおらず、50代で約6万8,000人、60代前半で約7万1,000人です。特に男性に多い病気で、60代前半の患者数は男性が約4万人、女性が3.1万人です。

加齢によって発症リスクが上昇する理由は、血管の弾力性が失われ、血の流れが悪くなるためです。近年の研究では血圧調整に関わるホルモンを介して、血管が収縮し血圧が上がることもわかっており、高血圧が脳卒中の大きな原因になることがわかっています。
脳卒中の原因の多くは高血圧
高齢者の高血圧は、「血圧が高いにもかかわらず脳の血流量が十分ではない」「急な温度変化による影響で脳卒中や心臓病を起こしやすい」「糖尿病を合併することが多い」などの特徴があります。高血圧で急な立ちくらみやめまいが頻繁に起こる方は注意が必要です。
そのため、脳卒中治療ガイドラインにもある通り、高血圧予防が脳卒中を予防することにもつながります。血圧が高くなる原因は、肥満、塩分の摂り過ぎ、ストレスや喫煙などが挙げられます。
中でも、日本人は食塩摂取の多い食生活を送っています。そのため、日頃の食事の塩分摂取を抑えるだけで血圧が下がる可能性が高くなるとされています。また、喫煙や大量飲酒も血圧を上げる要因です。
脳卒中予防には生活習慣の見直しを
脳卒中と糖尿病の関係性
今回のガイドラインの改定では、糖尿病の予防が脳卒中の一次予防になるとしています。これは、体内の血糖コントロールが不良になっている場合、血管へのリスクが増大することが大規模な実験で科学的根拠が得られたためです。
糖尿病を患っている人を、そうでない人と比べると、高血圧になる割合が約2倍も高いことがわかっています。加えて、この2つを同時に患っていると、脳梗塞や心臓病を起こすリスクがさらに高まります。
糖尿病も高齢者に多い病気として知られています。男性の「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、30代では1.0%ですが、50代になると18.6%、60代になると24.8%にまで急増します。

生活習慣の見直しが予防の第一歩
脳卒中を予防するためには、高血圧や糖尿病のリスクを軽減させることが大切です。いずれも生活習慣を改善することで発症リスクを下げるとされています。
そこで、厚労省では生活習慣改善のために「スマート・ライフ・プロジェクト」という啓発活動を行っています。自治体や民間企業などと連携を図り、運動習慣や食習慣などについて正しい知識の普及を図っています。
2021年5月末で参加団体は6,326にものぼります。健康関連の事業者に加えて、証券会社や外食産業なども広く参加しています。参加企業の中には、健康増進イベントなどを行っているところもあります。
こうした活動は効果が出るまでに時間がかかりますが、浸透すれば国民の健康意識を高めるきっかけになります。脳卒中はバランスのいい食生活や正しい生活習慣によって発症リスクを抑えることができる病気です。早いうちから予防を心がけましょう。
みんなのコメント
ニックネームをご登録いただければニックネームの表示になります。
投稿を行った場合、
ガイドラインに同意したものとみなします。
みんなのコメント 2件
投稿ガイドライン
コミュニティおよびコメント欄は、コミュニティや記事を介してユーザーが自分の意見を述べたり、ユーザー同士で議論することで、見識を深めることを目的としています。トピックスやコメントは誰でも自由に投稿・閲覧することができますが、ルールや目的に沿わない投稿については削除される場合もあります。利用目的をよく理解し、ルールを守ってご活用ください。
書き込まれたコメントは当社の判断により、違法行為につながる投稿や公序良俗に反する投稿、差別や人権侵害などを助長する投稿については即座に排除されたり、表示を保留されたりすることがあります。また、いわゆる「荒らし」に相当すると判断された投稿についても削除される場合があります。なお、コメントシステムの仕様や機能は、ユーザーに事前に通知することなく、裁量により変更されたり、中断または停止されることがあります。なお、削除理由については当社は開示する義務を一切負いません。
ユーザーが投稿したコメントに関する著作権は、投稿を行ったユーザーに帰属します。なお、コメントが投稿されたことをもって、ユーザーは当社に対して、投稿したコメントを当社が日本の国内外で無償かつ非独占的に利用する権利を期限の定めなく許諾(第三者へ許諾する権利を含みます)することに同意されたものとします。また、ユーザーは、当社および当社の指定する第三者に対し、投稿したコメントについて著作者人格権を行使しないことに同意されたものとします。
当社が必要と判断した場合には、ユーザーの承諾なしに本ガイドラインを変更することができるものとします。
以下のメールアドレスにお問い合わせください。
info@minnanokaigo.com
当社はユーザー間もしくはユーザーと第三者間とのトラブル、およびその他の損害について一切の責任を負いません。
2020年9月7日 制定