寝たきりになる原因と仕組み
日本は寝たきり高齢者が多い
日本は寝たきり高齢者が多いと言われています。現在、日本では「寝たきり高齢者」という項目での統計調査は行われていませんが、寝たきり高齢者が増える要因として「平均在院日数」の多さが挙げられています。
厚労省が『OECD Health Statics』(2019年)をまとめた資料によると、日本の平均在院日数は28.2日。
それに対して、欧米各国ではアメリカ6.1日、イギリス6.9日、ドイツ8.9日、フランス9.9日、スウェーデン5.7日と、その差は歴然です。

日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、寝たきりはこうした急性期医療の治療中と治療後の継続入院中に起こりやすいと指摘しています。
寝たきり状態を指す廃用症候群
寝たきりになると、身体にどのような悪影響があるのでしょうか?近い症状として「廃用症候群」があります。
廃用症候群は、ベッドで長期安静した場合に発症しやすいとされています。
主な症状に「筋肉が衰える」「骨がもろくなる」「血栓ができやすくなる」「うつ」などがあげられます。
特に高齢者では、知らないうちに進行するケースが多く、気づいたら「起きられない」「歩けない」といった状態になってしまいます。
廃用症候群は、具体的な検査や診断基準がなく、個々の症状から総合的に診断されます。本人もその周囲も気づきにくいもの。疾患などを抱えて長期入院を余儀なくされた高齢者は注意が必要です。
自粛生活がもたらすリスク
コロナ禍の影響で廃用症候群の増加が懸念
さらに、昨今のコロナ禍における自粛生活も、廃用症候群を増加させるのではないかと懸念されています。
神戸市がコロナ禍において運動機能が低下した高齢者の割合を調査。
「階段を手すりにつたわらず昇ることができない」「椅子からつかまらず立つことができない」「15分ぐらい続けて歩くことができない」「過去1年で転んだ経験が1度または何度もある」「転倒に対して不安である」の5項目のうち3項目が当てはまる人を「運動機能者低下者」としてアンケートを実施しました。
すると、2019年度では23.9%だったのが、2020年度は25.9%と2ポイント上昇しました。

民間の調査でもこれを裏付けるデータが公表されています。
オムロンヘルスケアの調査によると、高齢者の53.8%が運動量が減少したと回答していることがわかっています。
また、同調査によれば体の不調を感じている高齢者は34.5%に達し、「膝の痛み」や「腰痛」などが多くなっています。
リハビリを実施する病院などでは、こうした事態を懸念して新型コロナの感染予防を徹底したリハ病棟での受け入れを準備するなどしています。
廃用症候群のケア
一度廃用症候群になると、回復には廃用に陥っていた期間の数倍の期間が必要だとされています。例えば、筋力の場合、1週間の安静では約15%、1ヵ月では50%もの筋力低下が起こるとされています。この筋力を取り戻すには約2倍の期間がかかります。
進行しないうちに、対策をとる必要があります。
スクワットや足上げ運動、散歩などのちょっとした運動を日々繰り返すことができれば、筋力の低下を防ぐことにつながります。
ただ、病床に伏している方にはこうした運動を行うことは困難です。まず「椅子に座ること」が第一歩になります。
リハビリの第一歩となる「シーティング」
注目を浴びるシーティングとは?
そこで、注目されているのがシーティングです。シーティングとは、長時間座位を続ける人の心身機能や生活状況を考慮して、正しい座位姿勢が確保できるように、車椅子や椅子などを調整することです。
シーティングを実施し、離床を促すことで、前段の廃用症候群のケアにつながります。また、嚥下障害、骨粗しょう症、褥瘡といった二次障害の予防や、本人のQOL向上につながるというメリットがあります。
このようなシーティングは、円背になった高齢者などを対象に実施されており、その健康効果に対する検証が続けられています。
シーティングで円背を予防・改善
筋力が低下した高齢者は、背中をC字に曲げて猫背のままで座ってしまいます。こうした状態を「円背」と呼びます。
厚生労働統計協会の『厚生の指標』に掲載された調査によると、高齢者の円背保有率は男性21.0%、女性20.4%と全体の約2割を占めています。

円背の状態が長時間続くと、胸部や腹部が圧迫され、呼吸を妨げたり、食べ物の消化吸収が悪くなるとされています。
背骨を支える筋肉の働きが効率よく、疲労が少ない活動的な座位姿勢をつくるため、まずは車椅子や椅子を調整するのです。そうすることで生活を快適で活動性の高いものに変えていくことができるとされています。
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2020年9月7日 制定